(11日、第107回全国高校野球選手権広島大会2回戦 福山13―1向原・千代田・三次青陵・加計) 最後の夏はひときわ楽…
(11日、第107回全国高校野球選手権広島大会2回戦 福山13―1向原・千代田・三次青陵・加計)
最後の夏はひときわ楽しかった。隣に、弟がいたから。
2年前の夏、上級生が引退すると、加計の藤本文也選手(3年)は選手1人だけになった。置いたボールを打つ「置きティー」や壁当ての練習が中心の毎日だった。それでも「止まった球を打つ練習をしているから、バットの芯でとらえられるようになる」と前を向いた。
そんな中、心強い後輩が今春入部した。二つ下の弟、拓実選手(1年)だ。1人で練習を続ける兄を見て、手伝えることがあればとマネジャーとして入部した。ノックを打ってもらい、1人ではできなかった守備練習がはかどった。何一つ文句を言わず、付き合ってくれた弟のおかげで、練習が一段と楽しくなった。
連合チームで臨んだこの日の2回戦、中堅手の藤本選手は福山の3番打者が放った飛球を、帽子を落としながら前進して好捕。ベンチの拓実選手は「ナイスプレー!」と声を響かせた。だが、コールド負けで終わった。
これまで、やめたいと思ったことは一度もない。「やると決めたことを最後までやりきりたかった。合同練習などの送迎で親にもお世話になった」。拓実選手は「負けず嫌い」と言い、母も「やると決めたことはやる性格」と話す。
6日の1回戦では適時三塁打を放つと、敵失でそのまま本塁を踏んだ。「しんどいこともあったけど、最後まで続けて夏に1勝できてうれしかった」。大学に進んでも、野球を続けるつもりだ。(遠藤花)