(11日、第107回全国高校野球選手権宮城大会1回戦 石巻西2―1気仙沼向洋) 気仙沼向洋の佐藤日向(ひなた)投手(3…

 (11日、第107回全国高校野球選手権宮城大会1回戦 石巻西2―1気仙沼向洋)

 気仙沼向洋の佐藤日向(ひなた)投手(3年)は最後までマウンド上で笑顔を絶やさなかった。八回2死から味方が失策しても、「切り替えよう!」と率先して声をかけ、無失点で切り抜けた。

 「ありがとうという気持ちで最後まで投げ切りました」。試合後、佐藤投手は口にした。

 気仙沼向洋は昨夏の3年生が引退すると、部員が7人になった。連合チームで練習試合や公式戦に取り組んできたが、10点以上の失点で敗退することもあり、苦しんだ。昨秋からエースナンバーを背負う佐藤投手は夏に向け、下半身を鍛えるための走り込みと投球フォームの修正に取り組んだ。

 4月に1年生5人が入部し、12人の単独チームで挑んだ夏。惜しくも敗れたが、佐藤投手は8回2失点(自責点0)の好投。きょうの投球の出来は「100点ですね」と笑顔だった。

 試合後、涙を流す後輩を見て、「関わってまもないのに、自分たちが負けて泣いてくれて、しっかりやりきれたな」。

 3年生5人の絆も強い。球場に向かう前にお互いの帽子のつばに漢字を書き込んだ。佐藤投手のつばには「燃、頂、福、金」の文字。「燃」は情熱的な梶原大輝主将が、「頂」は「上行こうぜ」という気持ちを込めて伊東神選手が、「福」は「がんばろうぜ」と遠藤康晟捕手が、「金」はムードメーカーの川村昊(そら)選手が「きょうの試合が金曜日だから」と書き込んだ。

 試合には普段から応援してくれる地域の人たちも気仙沼から駆けつけた。「感謝の気持ちでいっぱいです」。すがすがしい表情で言い切った。(岸めぐみ)