夏の神奈川大会連覇を目指す東海大相模。最後の夏を迎える主砲・金本 貫汰内野手(3年)は、全国優勝を成し遂げた2015年以…
夏の神奈川大会連覇を目指す東海大相模。最後の夏を迎える主砲・金本 貫汰内野手(3年)は、全国優勝を成し遂げた2015年以来となる偉業へ闘志を燃やしている。
金本はU-15日本代表にも選出され、中学時代から世代屈指のスラッガーとして注目を浴びていた。高校は「ここだったら全国で勝負できる。日本一を取りに行けると瞬間的に思って決めました」と東海大相模進学を決意。入学直後の春季大会では、公式戦デビューとなった厚木北戦で2打席連続本塁打という離れ業をやってのけた。
その後は下級生から4番を張るなど、名門でも非凡な才能を発揮した。そんな金本が再び脚光を浴びることとなったのは、昨夏の神奈川大会決勝だ。永遠のライバル・横浜との頂上決戦。相手先発の織田 翔希投手(当時1年)の直球を捉え、横浜スタジアムの右翼ウィング席へ放り込んだ。
「飛距離は感じていましたが、着弾点は見えていなくて、ボールがフェアゾーンに入ってくれたという感じでした。後から見返したら凄く飛んでいましたけど、自分はホームランを打った実感もなく、他の人が打ったホームランを見ている感覚でした」
若き主砲の活躍もあり、チームは5年ぶりとなる夏の甲子園を果たした。衝撃デビューも決してまぐれではない。それを証明するような豪快弾にハマスタの大歓声は鳴りやまなかった。
迎えた最終学年、チームは秋・春の神奈川大会決勝で横浜に敗れる屈辱を味わった。かたやその横浜は明治神宮大会、センバツと二度の日本一を経験し、新チームは今春の関東地区大会まで公式戦負け知らずの27連勝とまさに「横浜一強」時代を築き上げている。
もちろんライバルの成長をじっと見つめているわけでは無い。打倒横浜を掲げた春はエースの福田 拓翔投手(3年)が不調の中でも、延長タイブレークの競った展開に持ち込んだ。「一番大きな的が県内にいるので、そこは目標を設定しやすかった。強敵だからこそ、この高校を倒せれば全国でも上を目指していけると思いましたし、横浜高校さんが2度日本一を取ったからこそ感じることも多かった」と、横浜の活躍を刺激に、自分たちの成長に繋げている。
公式戦でのリベンジの機会は今夏の決勝戦のみ。残された数少ないチャンスに「今の自分達の立場で『横浜一強ではない』と言っても通じる言葉ではない。そこは自分達が勝って証明するしかない」と語気を強める。
「負けて泣くより、勝って笑うことが一番」。鳴り物入りで入学したスラッガーが流した2度の悔し涙は、今夏の決勝できっと嬉し涙に変わるはずだ。