(11日、第107回全国高校野球選手権鹿児島大会1回戦 隼人工4―6樟南) 四回裏、隼人工の投手交代が告げられた。シー…
(11日、第107回全国高校野球選手権鹿児島大会1回戦 隼人工4―6樟南)
四回裏、隼人工の投手交代が告げられた。シード校の樟南に先発の浅井聖(こうき)投手(3年)が打ち込まれ、三回に5点を失う苦しい展開。マウンドに立ったのは背番号10の山口敏行投手(3年)だった。「自分が抑えれば、終盤勝負に持ち込める」。1点を許したが、この回最後の打者を内野ゴロに打ち取り、拍手でベンチに迎え入れられた。
「遅い球でも勝負できるようになりたい」と、昨秋から磨きをかけてきた内角のコントロールが持ち味。樟南打線にも、長打を恐れず内角へ思い切り投げ込んだ。緩急もさえた。打たせて取る投球で、五回以降は無失点に抑えた。
好投が攻撃にリズムを生んだ。七回、代打の山内零王(れおん)選手(3年)の適時打などで点差を詰め、九回に1点を追加。2点差に追い上げてなお1死満塁と攻め、最後まで強豪を苦しめた。
隼人工は現在の3年生が入るまで、部員が6人しかいない時期もあった。試合後、新開剛監督は言った。「山口が本当によく投げてくれた。きょうの粘りの野球が、うちの新たな伝統につながっていくと思う」(井潟克弘)