プロ野球界も「暑さ対策」に力を入れている。阪神は甲子園での試合前練習で、ハーフパンツとTシャツの着用を解禁し、西武は夏…

 プロ野球界も「暑さ対策」に力を入れている。阪神は甲子園での試合前練習で、ハーフパンツとTシャツの着用を解禁し、西武は夏場の高温多湿で知られるベルーナドームに巨大なミスト発生機を設置した。どんな効果があるのか。

 暑さ対策に詳しい広島大学大学院の長谷川博教授(運動生理学)に聞いた。

――記録的な猛暑を受け、日中に屋外で行われることが多い試合前練習では「軽装」が広がりつつあります。

 「野球のユニホームは上半身を重ね着して、長い靴下をはいています。これまでの研究では、重ね着することによって、深部体温(脳や内臓など体の中心部の温度)や脈拍数、脱水レベルが上昇し、運動パフォーマンスの低下や熱中症が報告されています」

 「試合前の練習やクーリングダウンでは、なるべく軽装にした方が体の負担が少なくなるので、熱中症予防やパフォーマンスの向上の観点からも重要だと思います」

――深部体温を冷やす有効な手段の一つとして「手のひらの冷却」が挙げられます。野球では、どうですか。

 「手のひらには『AVA血管』という特殊な血管が通っていて、体温調節に重要な役割を果たしています。AVA血管を冷やせば、冷えた血液が心臓へ戻り、体内を巡るため、深部体温の上昇を防げる、といいます」

 「ただ、試合中、手のひらを冷やすのは、投手だと嫌な感覚を持つ方がいるかも知れません。イニングの合間にベンチ裏で『冷却ベスト』を着られるのであれば、それを着て休むのも一手かも知れません。東京オリンピックの時、ソフトボールでは投手がイニング間に冷却ベストを着ていました。腕や肩ではなく、体幹部を冷やすので、パフォーマンスに大きな影響はないと思います」

――試合中の暑さ対策として、体温を冷やしつつ水分などを補給するため、ベンチ裏にアイススラリー(シャーベット状の飲料)などを常備する球団も増えています。

 「小さな氷の粒と液体が混じり合ったシャーベット状の氷飲料は深部体温を冷やすことが分かっているので有効です。スポーツ飲料をベースにした氷飲料を摂取することで冷却効果に加え、電解質や糖質も補給することができるため、効果的です。また、水分をとりすぎても、塩分が足りずに『低ナトリウム血症』に陥ることもあります。過剰摂取には気をつける必要があります」

――ファンの暑さ対策として、球場内に大型のミスト発生機を設置したり、氷を無料配布したりする球団があります。

 「ミストを当てれば暑さは和らぎます。観客の方は、いつ体温を冷やすかが重要になってきます。応援に熱中するあまり、水分をとるのをつい忘れがちです。イニングの合間などに、こまめに水分を補給したり、ミストを浴びたりして体を冷やしてください」

――屋外でのデーゲームでは、どんな対策が有効でしょうか。

 「日傘を差せないのであれば、帽子をかぶるのがいいです。直射日光を肌に当てないようにするため、長袖を着るのも大事です。熱中症は知らず知らずの間に脱水するレベルが高くなって、体温や脈拍、心拍数が上がることがあります。早め早めの対策を意識してください」

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配信した記事の見出しを当初、「野球観戦、『手のひら冷却』の効果は? 熱中症予防の専門家に聞く」としていましたが、「選手、ファンの暑さ対策 『手のひら冷却』の効果は? 専門家に聞く」に修正しました。記事が主に選手への効果を取り上げていたためです。コメントプラスで三浦麻子さんからもご指摘をいただきました。(聞き手・笠井正基)