(11日、第107回全国高校野球選手権神奈川大会2回戦、平塚学園6―2横須賀学院) バットを空に突き上げた後、平塚学園の…
(11日、第107回全国高校野球選手権神奈川大会2回戦、平塚学園6―2横須賀学院)
バットを空に突き上げた後、平塚学園の藤原レイ(3年)はゆっくりと打席に入った。
六回表2死二、三塁。「チームのために1本出す」。2球目の変化球を振り抜くと、打球は右前に転がった。走者が生還し、2点を先制した。
スタンドでは父の大和(ひろかず)さん(45)が応援していた。1998年に平塚学園が甲子園に初出場を果たした時のエースだ。
小学校に入学する前から親子でキャッチボールをして遊んでいた。グラブやバットを用意すると、藤原は「僕、野球やる」と宣言したという。
中学では藤沢市の硬式野球チームに入ったが、過酷な練習に耐えられず「野球が苦しくなった」。でも、「ここで折れたら何も残らないぞ」という大和さんの一言で続けることを決意した。
高校は「父を超える」と同じユニホームに袖を通した。帽子のつばには「打倒横浜」。父が対戦できなかった横浜に勝って、甲子園に行くとの思いからだ。
大和さんは、「甲子園を考えると遠く感じてしまう。『目の前の相手チームに勝つことを考えて』と、よく言っています」と話した。
藤原も思いは同じだ。試合後、「まだ3回戦や4回戦の壁がある。しっかり越えて甲子園に行く」と力を込めた。(小林日和)