(11日、第107回全国高校野球選手権福岡大会3回戦 西日本短大付4―0三潴) 選抜王者に味わわされた悔しさをバネにし…

 (11日、第107回全国高校野球選手権福岡大会3回戦 西日本短大付4―0三潴)

 選抜王者に味わわされた悔しさをバネにした。

 夏の初戦に臨んだ西日本短大付は先発の原綾汰(3年)が被安打8、8奪三振で初完封し、好スタートを切った。

 エース中野琉碧(3年)も継投の準備をしている中、背番号11の左腕は「自分が投げきる気持ちをなくさなかった。めっちゃ気持ちいいです」と、129球で無四死球の快投を披露した。

 直球の計測表示は130キロ前後と決して速くない。それでも、ストライクゾーンの四隅を突くコントロールが抜群だった。100キロ台のカーブで直球を速く見せ、初めて走者を三塁に背負った六回も最後は126キロの直球で空振り三振に切った。

 今春の選抜大会準々決勝で横浜(神奈川)と対戦し、原は1点リードの場面で救援した。だが、甘い球を見逃さない相手打線に打ち込まれた。主軸の阿部葉太(3年)らに適時打を浴びるなど逆転を許し、チームも敗れた。

 思い出すだけで、苦笑いがこぼれる。「全員がでかくて、オーラもあって……。(阿部は)化け物でした」

 ただ、「チームとして大きな差はなかった」とも。「負けたのは自分のミス。課題は『高さ』と、はっきりした」

 練習でブルペンに入る回数を増やし、打席には打たれた横浜の打者をイメージしながらとにかく投げ込んだ。「うちは守備がいいので、しっかりゾーンに投げれば良い。意識が変わった」

 西村慎太郎監督は言う。「横浜は日本代表に選ばれている子がいて、全国から集まっている学校なので、個人の技量は違う。急激に球速が上がるわけではないので、夏には勝てるように配球や守備位置を選手みんなで考えてきた」

 この日のスタメンのうち6人が2年生から甲子園で出場した。チームは昨夏の全国選手権で16強、今春の選抜で8強と、着実に力をつけている。

 「経験者が多いことは自信になるけど、絶対に過信してはいけない」と原。まず、めざすのは3季連続の甲子園出場。全国の舞台で借りを返すまで油断はない。=久留米(室田賢)