(11日、第107回全国高校野球選手権茨城大会2回戦、海洋2―12大子清流=6回コールド) 五回裏2死、海洋の主将でエ…

 (11日、第107回全国高校野球選手権茨城大会2回戦、海洋2―12大子清流=6回コールド)

 五回裏2死、海洋の主将でエースの井関廉弥(3年)は空を仰いだ。

 ランニング本塁打を打たれ、点差は9に広がった。あと1点でコールド負けになってしまう。

 「まじかー。最後の年ぐらい九回まで戦いたい。絶対に抑える」。次打者に対し調子の良かったスライダーを投げ、一飛に打ちとった。

 昨夏の大会前から主将を務める。1年生の冬、部員1人のときもあったが、黙々と練習する姿から堀江優羽監督が指名した。「3年生もいるのに、なんで俺が」。昨夏は鉾田二に1―37で五回コールド負けした。

 悔しかった。つらかった。野球をやめようと思った。でも、水戸商で投手だった堀江監督から「俺も高校時代、悔しい思いをしたことがある」と言われ、踏ん張れた。

 九回まで戦いたい思いが芽生えた。冬は打撃練習をせず、守備練習に打ち込んだ。野球経験のある同学年の友人に「一緒にやろうよ」と助っ人を頼んだ。

 大子清流戦。苦手の立ち上がりを攻められ、投球が浮いたところを痛打された。初回7失点、六回コールド負け。九回は遠かった。

 涙を流した。だが、手で拭き取った。「悔しいこともあったけど、楽しいこともあった。野球、やりきった」からだ。

 昨年とは違った。大黒柱は晴れやかな表情だった。(後藤隆之)