<2025年全国高等学校野球選手権東東京大会:深川-筑波大付>◇10日◇2回戦◇ジャイアンツタウンスタジアム 深川は昨夏…

<2025年全国高等学校野球選手権東東京大会:深川-筑波大付>◇10日◇2回戦◇ジャイアンツタウンスタジアム

 深川は昨夏の大会は10人ながら単独チームで出場できた。しかし、3年生が抜けて新チームとなった昨秋と今春の一次ブロック予選は、他校との合同チームでの出場を余儀なくされた。それでも、残った部員たちは思いを切らすことなく、自分たちの活動をアピールし続けて、新入生へ向けての勧誘も積極的だった。今大会は助監督登録としてシートノックも打つマネージャーの山田 美来さん(3年)は、1月に開催された「マネージャーサミット」でも、自分たちの活動を発表するプレゼンテーションで、部員確保への熱い思いをアピールしていた。

 彼女は、昨夏の大会でも江戸川球場でシートノックを打っているが、この夏は今年から東京大会の会場となった、プロ野球仕様のジャイアンツ球場に立った。部員が少ないという環境でもあり、元々は、野球部としての顧問が間宮 康介監督一人しかおらず、学校の仕事などで練習に出られないときなどに、ノックを打てれば練習の効率があがると取り組んだことから始まった。

 特に中学時代にクラブチームなどで野球を経験していたというわけではない。中学時代は一輪車の名手だったという。たまたま見た高校野球の試合に心を打たれて、「野球のそばに居たい」という思いからマネージャーを志望した。そして、現実には部員不足の中で、自分が少しでも練習を手伝うことができればいいだろうという思いがより強くなっていった。そんなことから、昨年夏の大会前から、「私がノックを打って手伝いたい」という思いからノックの練習も始めた。昨年は、内野ノックのみだったけれども、今年は外野ノックも、しっかりとフルスイングで飛ばしていた。

 そんな山田さんのノックで練習を積みあげてきた深川は、この日は結果としては無失策。そんな仲間のプレーを見つめながら、山田さんは7回頃からは涙が止まらなくなってしまった。積極的に勧誘した成果で13人が入部した中で6人が先発メンバーに名を連ねた。そして、人見 瑚拓投手(1年)と宮野 佑真捕手のバッテリーはじめ1番の時本 航輝選手(1年)や4番の佐々木 駿選手(1年)なども、懸命にプレーした。山田さんは、「高校野球を始めてまだ3、4カ月しかたっていないのに、みんな凄く上手になったと思ったら、とても嬉しくなってきました」といって、また涙にむせんだ。心からの幸せの涙を流せる青春がここのあるのだと思わせてくれたステキな時間でもあった。

 深川の決勝点は相手の内野飛球失策だったけれども、そのリードを人見投手が丁寧な投球で守り切った。間宮監督は、「バッテリーの頑張りが素晴らしかった。短期間でよく成長してくれました」と語りながらも、「一番成長したのは彼女(山田美来)かもしれません」と、称えていた。自身は東海大浦安出身で、甲子園でどう勝つのかという質の高い野球も経験してきたが、「改めて、大会で一つ勝つということの価値、大事さを学ばせてもらいました」と、選手たちを称えていた。

 筑波大付は、通称「筑附」と呼ばれている国立大附属の進学校で、毎年、東京大に40から50人前後の合格者を輩出している。前身は明治初期に設立された昌平坂学問所の附属中学ということになるが、高等師範附属中として太平洋戦争終戦後に復活した1946(昭和21)年の第28回大会では優勝して代表校となっているという歴史もある。その翌年も準優勝を果たすなど、歴史と伝統をプライドとして背負いながら、この夏に挑んだ大会だった。

 結果的には、失策での失点が効いてしまったという形にはなったけれども、戦い方としてはひたむきで、この暑さの中でも、きびきびしたプレーを心がけていこうという姿勢は十分に感じさせてくれた。

 こういう試合に接していかれることが、高校野球が100年以上の歴史を維持しながら多くの人たちに愛され、応援されていくことなのだろうということも、再認識させてくれた。