(10日、第107回全国高校野球選手権岩手大会1回戦、大野・葛巻・伊保内2―0平舘) 「連合チームの勝ちたい気持ちは単独…

(10日、第107回全国高校野球選手権岩手大会1回戦、大野・葛巻・伊保内2―0平舘)

 「連合チームの勝ちたい気持ちは単独チームにも負けない。魂を込めて全力でプレーする」

 前日、選手宣誓でそう誓った有坂昌剛主将(3年)率いる大野・葛巻・伊保内が、昨年の大会でコールド負けを喫した平舘との接戦を制した。厳しい競り合いの試合。守備を終えベンチに戻る度に仲間とハイタッチして士気を鼓舞する有坂主将の「OK!」という雄たけびが響いた。

 葛巻所属だが、出身は盛岡市内。山村留学で入学した。

 熱い男だ。中学生だった頃、需要と供給が合わずに牛乳が捨てられているというニュースを見た。「自分が何とか助けになりたい」と、酪農の街、葛巻への山村留学を決める。捨てられる牛乳をなくすためにチーズ職人を志し、独学でチーズ作りに挑んでいる。

 住み始めた時、店や人の少なさに驚いた。しかし盛岡と違い、多くの人がすぐ自分を覚えてくれ、親切にしてくれる。葛巻はこんなに面白い、と都会の人に言いたい。その気持ちが「勝ちたい気持ちは単独チームと同じ」という訴えにつながる。

 「連合は部員が足りないチームが集まっているから弱い。そう見る人は多いと思うけど、ちがうって示したいんです」

 伊保内とは昨年から、大野とは今春から連合を組んだ。毎週末は3校で合同練習。平日3日は自校で練習している。授業も含めると休みがない毎日だが「しっかり声を掛け合えるいい仲間になれている。単独チームと変わりない」という。

 この日、最も勝利に貢献したのは、伊保内所属の日向瑠投手(2年)。16奪三振の好投でピンチを何度もしのいだ。だが、単独では大会に出る望みの薄い伊保内に入学したとき、こんな活躍は想像できなかった。

 「いつも声を出してくれる有坂主将のおかげで『勝てる』と思えるチームになりました」

 有坂主将は今回、目立った活躍はなかった。「後輩に勝利をもらいました。今度は先輩がプレゼントする番。どこが相手でも、引き締めて準備します」(長野剛)