サッカーの東アジア最強国を決めるE-1選手権が始まった。日本代表は初戦で香港に6-1と大勝を飾った。その理由と、2戦目…
サッカーの東アジア最強国を決めるE-1選手権が始まった。日本代表は初戦で香港に6-1と大勝を飾った。その理由と、2戦目の中国戦での注意点を、サッカージャーナリスト後藤健生が現地からリポートする。
■マネージメントの中での「6対1」
香港とは実力差が大きかった。フィジカル的な強さはあるものの、プレーの緻密さやプレー強度では大きな違いがあった。アシュリー・ウェストウッド監督が語ったように「Jリーグと香港リーグの差」である(香港出身で中国スーパーリーグで活躍する選手は増えているが)。
日本がさらに強度を上げてプレーし続ければ、大量得点も可能だったろうが、残りの日程を考えれば、先発させた選手のプレー時間をコントロールしたり、何人かの選手を次戦に向けて温存する必要があった。そうしたマネージメントの中での「6対1」なのである。
たとえば、フル出場した相馬勇紀は、次戦は完全休養だろうし、香港戦でベンチを温め続けた細谷真大には、次戦ではジャーメイン良ばりのパフォーマンスが期待される。
■韓国を「苦しめた」サイズとパワー
中国は7日の開幕戦で韓国に0対3と大敗を喫した。しかし、後半に入って韓国が選手交代を繰り返して緩みが出はじめた後は(日本と同じく、3戦を見通しての選手起用だったはず)、中国のアバウトではあるが迫力のある攻撃が韓国を苦しめる場面もあった。サイズがあり、パワフルな選手もいる中国を引っ張り込んでしまうと、韓国といえども、あわやというピンチを招いてしまうのだ。
前半の韓国は非常に効率的に戦った。
8分にこぼれ球を拾った李東炅(イ・ドンギョン)が強烈なシュートを決めると、その後は早いタイミングで両ウィングバックを使って攻撃。21分に李太錫(イ・テソク)のクロスを周敏圭(チュ・ミンギュ)が頭で決めて2点差とした。
韓国が余裕を持って戦えたのは、序盤戦では中国にミスが多く、労少なくして高い位置でボールを奪えたからだ。自分たちがとくに強いプレスをかけたわけではないのに、相手が勝手にミスをしてくれたら、これほど楽なことはない。
日本もまずフレッシュな前半立ち上がりに強いプレスをかければ、中国のミスを誘発できるはずだ。これを回収して早い時間帯に先手を取りたい。
■理想的なのは「早め」の複数得点
だが、朝鮮半島は週末あたりまでは熱波に覆われ続ける予報だ。高温多湿の中で90分プレスをかけ続けることは不可能だ。
それなら、運動量が落ちた時間帯にはしっかりとしたブロックを作って中国にボールを持たせて、相手のアンフォーストエラー(中国の判断ミスや技術的なミス)を拾ってカウンターを狙えばいい。韓国はこういった省エネ戦法でチャンスを作っていた。
注意すべきは中国の2人のMF、黄政宇(フアン・ジェンユ)と高天意(ガオ・ティアンイ)。彼らをどのように封じるかが勝負を決める。2人ともフィジカル的な強さとテクニックを持ち合わせており、彼らがパスを展開してサイドからのクロスというのが中国の攻撃パターンであり、高天意はミドルシュートも狙ってくる。
中2日で事実上の決勝戦である韓国戦を控えているので、香港戦と同じように中国戦でも早めに複数得点を決め、後半は無理をせずに戦うことができれば理想的だろう。