(10日、第107回全国高校野球選手権埼玉大会2回戦 細田学園14―3吉川美南・八潮・三郷・三郷工技・新座総合=6回コー…
(10日、第107回全国高校野球選手権埼玉大会2回戦 細田学園14―3吉川美南・八潮・三郷・三郷工技・新座総合=6回コールド)
四回以降の中継ぎ登板で、連合チームの主将の阿部誠之介投手(三郷・3年)は4失点していた。
五回裏に打席が巡ってきた。ここで1点を返さなければ、チームはコールド負けが決まる。
無死一、二塁の好機。高めのスライダーをはじき返すと、打球はセンター前へ。無死満塁に好機を広げる一打になった。
次打者が続き、五回コールドを防ぐ1点をチームでもぎ取れた。
阿部投手の高校時代は、右ひじのけがを抜きに語れない。
中学でエースとして活躍し、高校は県外の強豪校に進学した。
しかし、小学生の時に剝離(はくり)骨折した右ひじを再び高校で痛めた。塁間も投げられず「野球が好きじゃなくなっていた」。
思い切って三郷に編入。リハビリに励み、野球を続けられたのは、支えてくれた家族、転校生の自分を温かく迎えてくれた学校という存在があってこそ。「この夏のマウンドに立てたのは支えてくれた人のおかげ」。感謝の言葉を残して大会を去った。(折井茉瑚)