(10日、第107回全国高校野球選手権大阪大会1回戦 大教大池田27―0開明=五回コールド) 「いろんなミスはあったけ…
(10日、第107回全国高校野球選手権大阪大会1回戦 大教大池田27―0開明=五回コールド)
「いろんなミスはあったけど、やることは全部できた」
「4番・一塁」で出場した開明の梁玄樹(2年)にとって、最後の夏が終わった。
ベンチ入りしたのは2年生4人、1年生14人。野球部に3年生はいない。
学校は今年度、東大や京大に現役合格者を出すなど、学力向上に力を入れている。そのため3年生になると受験に専念しており、野球部も2年秋をもって引退することが決まっている。
梁は小学4年で野球を始めた。開明の中等部に入り、野球部はなかった。「家族が阪神ファンで、家でもプロ野球を見ることが多かった」。野球部がある高校に進学する直前、「野球熱が戻ってきた」。
高校野球ができる時間は他の人よりも短い。「それでも野球がしたい」と思った。
最初は硬式球に戸惑った。バットが詰まったら手がしびれるし、死球は想像以上に痛い。でも、放課後に校庭で受けるノックは好きだった。週1度だけ広いグラウンドを借りてする打撃練習は、もっと楽しかった。
3人の兄も開明出身で、いずれも野球部だった。ただ、これまで梁自身を含めてきょうだいは誰も公式戦の勝利を経験したことがない。「だからこそ、自分が勝ちたかった」と唇をかんだ。
試合は完敗だった。エラーもした。でも四回、公式戦初となる内野安打を放った。「気持ちよかった。こんな広い場所で野球ができるなんて」
父のような医師になりたいから、医学部をめざす。週4日の部活がない日は塾に通う。「1年生は初心者もいたから、この秋まで、まだ全員が力をつけることができる」と野球も真剣だ。
試合後、一番にこう思った。
「もっと練習して、来年の夏も野球がしたいなあ」=万博(室田賢)