(山形大会1回戦 米沢東13―5北村山・谷地・上山明新館 7回コールド) 「病気や障がいで悩む人たちに、自分のプレーで…

 (山形大会1回戦 米沢東13―5北村山・谷地・上山明新館 7回コールド)

 「病気や障がいで悩む人たちに、自分のプレーで少しでも勇気を与えたい」。北村山、上山明新館との3校連合で出場した、谷地の佐藤海成(かいせい)選手(3年)は、強い信念を持っている。

 身長151センチ。生まれつき、骨の成長が遅い「軟骨低形成症」という病気で、手足が短い。小学校で野球に親しんだが、中学時代は2年間の入院生活を送り、体を動かせなかった。

 それでも、高校野球でプレーする夢をあきらめなかった。「みんなで一つになって、白球を追いかけることが楽しいから」

 病気を克服して練習に励み、この日の開幕試合に「7番サード」で先発出場した。

 腕が短いぶん、打撃では苦労してきた。外角の球を、うまく捉えられないからだ。毎朝の素振りで、しなやかなスイングを身につけた。

 努力が結実したのは、四回。外角への直球を迷わずに打ち抜き、右前への安打に。塁上で満面の笑みを浮かべた。「外角でしたが、気持ちで打ちました」

 試合に敗れても、晴れやかに語った。「ハンディがあるからといって、あきらめてはいけない。その思いを伝えることができたと思います」。まさに、有言実行の一打だった。(渡部耕平)