(10日、第107回全国高校野球選手権神奈川大会1回戦、横浜栄8―5横浜商) 1点を追う五回表。「Y校」の愛称で知られる…

(10日、第107回全国高校野球選手権神奈川大会1回戦、横浜栄8―5横浜商)

 1点を追う五回表。「Y校」の愛称で知られる横浜商は、主将の松本大誠(3年)から打順が始まった。

 公立の強豪校同士の対決。最速140キロを超える横浜栄のエース本多凌(3年)の直球とスライダー対策を重ねてきた。

 狙い球の直球を振り抜くと、打球は右翼手の頭上を越え三塁打に。「次につなげることを考えていた」。この回に3得点して一時逆転した。

 だが、八回に逆転され突き放された。九回はセンターフライに倒れ最後の打者に。球の行方を見届けると、うなだれるようにしてヘルメットを外した。

 古豪の主将として、95人の部員を束ねてきた。

 春の県大会は3回戦で敗れ、神奈川大会のシード権を得られなかった。「俺たちダメなのかな」と、練習で手を抜く部員も出た。チーム内での衝突もあり、部活に行きたくないと思うこともあった。

 それでも、「Y校のプライドを持ってやるしかない。みっともないプレーはできないだろ」と鼓舞し続けた。チームは甲子園という目標にむかって再び団結したという。

 12年ぶりの初戦敗退となったが、試合後、「最後まであきらめずに戦えた。つらいときもあったけど、主将をやってきてよかった」と話し、大粒の涙をぬぐった。(中嶋周平)