(10日、第107回全国高校野球選手権南北海道大会1回戦 札幌大谷8―0札幌光星 7回コールド) 二回裏1死一塁。札幌光…
(10日、第107回全国高校野球選手権南北海道大会1回戦 札幌大谷8―0札幌光星 7回コールド)
二回裏1死一塁。札幌光星の貞広煌晴投手(3年)は「きょうは球がよく指にかかる」と感じていた。直球は自己最速の130キロ前後。調子がいいサインだ。2球目、送りバントを許さず投飛で併殺に仕留めた。
3月、合坂真吾監督に「投手に戻してほしい」と直談判した。左投げで身長182センチの自分が投手として戦力になれば、もっと勝てる。チームで話し合った結果だ。
入学当初は控え投手だったがひじを骨折。そこから投球できない日々が続いた。悔しい思いを走り込みやウェートトレーニングで下半身の強化にぶつけた。打力が上がり、2年秋は野手で出場。しかし、投げることを諦めきれなかった。
ひじの痛みがなくなった今春、投球練習をすると球速は約10キロ上がっていた。下半身を鍛えぬいた結果だった。背番号1をつけ、この夏は地区大会の全2試合に先発した。
四回、1死をとったところで途中降板。「まだやれる」と思ったが、信頼する福本悠斗捕手(3年)の交代判断に間違いはないと切り替えた。
「またピッチャーにしてくれたチームに感謝している」
降板後、左ひじにアイシングをしたままベンチを飛び出し、守備を終えた仲間を笑顔で迎え入れる姿が、その言葉を表していた。(朽木誠一郎)