(10日、第107回全国高校野球選手権神奈川大会1回戦 桐光学園12―0戸塚=七回コールド) 桐光学園での指導一筋42年…

(10日、第107回全国高校野球選手権神奈川大会1回戦 桐光学園12―0戸塚=七回コールド)

 桐光学園での指導一筋42年目。今夏限りでの勇退を表明している野呂雅之監督(64)にとって、最後の大会が始まった。DeNAの颯(中川颯)ら多くの卒業生が駆けつける中、「甲子園とはまた別の聖地」という横浜スタジアムで1勝を挙げた。

 野呂監督は「(選手には)『楽に楽に』ではなく、『これ以上緊張できないぐらいしなさい』って話をしている。大会で緊張しないことはないのでね」。ベンチでは最前列で選手に紛れるように立ち、淡々とサインを出す。

 先発は最速146キロ右腕のエース加賀滉太に託した。二回に加賀の右越えソロで先制すると、打者一巡の猛攻で計8得点。七回コールドで圧倒した。加賀は「監督にとっても3年生にとっても最後の夏。甲子園をめざしたい」。

 早稲田実(東京)、早大を経て1984年に監督就任。野球ではまだ無名だった桐光学園を、激戦区神奈川の強豪に成長させた。

 98年夏に初めて東神奈川大会の決勝に進んだが、松坂大輔(元西武など)を擁する横浜に3―14で大敗。2001年春の選抜大会で初の甲子園に出場した。松井裕樹(パドレス)がエースだった12年夏に全国8強入りするなど、甲子園には春夏通じて計5度立った。

 今春の県大会の初戦で大師に敗れ、夏はノーシードからの挑戦だ。自身にとって区切りとなる大会ではあるが、野呂監督は、あくまで主役が選手であると強調する。

 「不思議なもんで僕は全然(気負いがない)。特別な勢いがあるのはよろしくない、勝負事なのでね」(大宮慎次朗)