(10日、第107回全国高校野球選手権千葉大会1回戦 光英VERITAS5―4船橋北) 「集中!集中!」 相手校の大声援…

(10日、第107回全国高校野球選手権千葉大会1回戦 光英VERITAS5―4船橋北)

 「集中!集中!」

 相手校の大声援が響く中、マウンドに立つ船橋北の主将でエース、飯田孟士(3年)の耳には聞きなじみのある声が届いていた。

 スタンドから人一倍大きな声援を送っていたのは父智市さん(59)。市松戸の元監督で、いつも自主練に付き添ってアドバイスをくれる。なんでも相談できる心強い存在だ。

 大会前には「主将でエース」という役割の異なる二つの立場を兼ねることから、やるべきことがわからなくなっている悩みをぶつけた。親子で話し合ううちに、エースとして投げる姿勢でチームを引っ張ればいいと思い切れるようになった。

 普段は厳しいことばかり言う父だがこの日は違った。「本気で応援してくれている」と勇気をもらい、8回132球を投げきった。最後はパスボールの失点で敗れたが、「チームのみんながよく守って、付いてきてくれた」と悔し涙を浮かべながらも明るく話した。

 力投を見届けた智市さんも「最後まで逃げずに勝負した。これ以上ない良い試合でした」と声を震わせながら賛辞を送った。=柏の葉(若井琢水)