<2025年全国高校野球選手権鹿児島大会:川薩清修館8-0奄美(7回コールド)◇9日◇1回戦◇平和リース球場 奄美は単独…

<2025年全国高校野球選手権鹿児島大会:川薩清修館8-0奄美(7回コールド)◇9日◇1回戦◇平和リース球場

 奄美は単独チームとして3年ぶりの夏に挑んだ。昨秋、今春とも1点もとれず7回コールド負けだっただけに、まず1点、9回まで試合をすることを目指したが、今回も無得点で7回コールド負け。「野球の難しさを教わりました」と玉利彪雅主将(3年)は悔しがった。

 2年生エース福永好生は好投したが、3、4回と守備のミスが絡んで失点した。部員13人のうち11人が1、2年生。部員の半数が高校から野球を始めた素人軍団で「未だ基礎体力をつけている段階」(酒匂千速監督)だ。中盤、5、6回は足がつる選手が続出。6回に捕手・中田亜由夢(2年)がマスクをかぶれなくなり、1年生の川村大雅が代役になったが、野球経験はあっても捕手経験がないのを突かれ、盛んに足で揺さぶられ痛打された。「福永が頑張ってくれていたのに、守りで助けてやれなかった」のが何より悔しいと玉利主将は言う。

 攻撃面では秋春には見られなかった粘りをみせた。安打数は1だが、5つの四死球を選んでいる。3回は二死満塁、4回は二死二三塁、7回は二死一三塁、「あと一本、出さえすれば…」と思えるような得点機を3度作った。ただ打つだけだった段階から「打てなくてもボールを見極め、四死球を選んで出塁する、バントで送るなど戦術を教えられようになった」(酒匂監督)成果だった。「来年は基礎体力をしっかりつけて、足がつらずに最後まで戦えるチームになって勝利を目指す」と酒匂監督は誓う。

 高校から野球を始め、主将としてチームを引っ張る難しさ、野球自体の難しさ散々を味わった玉利主将だったが「野球をやって本当に良かった」と言う。その真意を問うとしばし答えに窮したが、1年生の時に監督だった遊畑玄樹さんが「助け船」を出してくれた。

  「3年間、続けたことに意味があるんだよ」

 その通りだと思ったら、涙が止まらなかった。