◇米国&欧州男子ツアー共催◇ジェネシス スコットランドオープン 事前(9日)◇ザ・ルネサンスクラブ(スコットランド)◇…
◇米国&欧州男子ツアー共催◇ジェネシス スコットランドオープン 事前(9日)◇ザ・ルネサンスクラブ(スコットランド)◇7282yd(パー70)
ラウンド中にボギーが先行すると、とたんに中島啓太のネガティブスイッチが発動する。「予選を通るために、こうしよう…」。ミスを警戒してドライバーが振り切れず、アイアンもスイングが縮こまってピンを狙えない。「かっこわりーな、だっせーな!」。日本にいる相棒には、すっかり悪循環がバレていた。
5月「全米プロ」の予選落ちが、思った以上に堪えた。125位から予選通過を目指した2日目の終盤、カットラインまであと2ストローク必要な状況で、連続ボギーでチャンスを逃した。「そこから、すごい消極的」。気持ちを切り替えられないまま、その後は試合前からカットラインばかりが気になった。思い切って攻められないから、調子は悪くないはずでもスコアが伸びない。全米プロからの4連戦で、決勝ラウンドに進めたのは「オーストリアアルペンオープン」(11位)だけだった。
連戦を終えて帰国すると、国内賞金王を戴冠した2023年までタッグを組んだ島中大輔キャディを頼った。電話をかけてみると、「どうせ、ボギー先行したら『予選落ちる』とか思ってるんだろ」と言い当てられた。「かっこわりーな、だっせーな。思い切り行きなよ」と笑い飛ばされて、気持ちがちょっと軽くなった。
気を取り直して挑み、前週「BMWインターナショナルオープン」で3試合ぶりに4日間プレーした。58位は満足できる結果ではなかったが、「どれだけ予選落ちても、来年アメリカに行くっていう気持ちを失っちゃいけない」とネガティブはすっかり卒業した。
6月に25歳になった。「コリン(・モリカワ)は25歳までに全英も、全米プロも勝った」と、本来目指すものは予選通過のずっと先にある。来年PGAツアーに昇格するには、年間ポイントレース(レース・トゥ・ドバイ)で有資格者を除く上位10人に食い込まなければいけない。現在ポイントランクは17位。「かっこわりーな、だっせーな」。日本の相棒が言う通り、気持ちで負けている場合じゃない。(スコットランド・ノースバーウィック/谷口愛純)