夏の高校野球の南北海道大会で、北海道テレビ放送(HTB)の2人のアナウンサーが実況デビューする。専門性が必要な分野に、…

 夏の高校野球の南北海道大会で、北海道テレビ放送(HTB)の2人のアナウンサーが実況デビューする。専門性が必要な分野に、3年目と9年目のアナウンサーが飛び込む。

 「語り継がれるようなスポーツの名場面には、必ずいい実況がついているんです」

 アナウンサー3年目の段木涼太さんは、そう話す。学生時代はバレーボール部。「春高バレー」を見て育ち、アナウンサーに憧れた。実況アナを志望し、HTBに中途入社。直後から野球実況の研修を受けてきた。

 野球実況にはセオリーがある。例えば、投球前はしゃべらない。すぐに打球が飛んだ場合、それまでの話を中断して球を追うことになり、聞き苦しいとされるためだ。

 高校野球は特にプロ野球より投球間隔が短く、展開が早い。選手交代が多発する試合もあり、難しいという。

 そこで昨秋から、業務の合間に高校野球の地区大会に足を運び、実況の練習をしてきた。ひたすら打球の行方を言葉にし、同行する先輩に指導を受けた。主に夕方と夜のニュースを担当しながら、今年は30試合以上で練習をしたという。その中で気づいたことがある。

 「伝える側は『最後の夏』と入り込んでしまうが、選手たちは、心から楽しそう。ならば、私たちアナウンサーも楽しんで、もり立てたい」

 朝の情報番組「イチモニ!」などを担当する9年目の福永裕梨さんも、同じ南大会で実況デビューする。福永さんは高校時代、球場アナウンスをしたり、チアとして甲子園のアルプスに立ったりするなど、高校野球と関わりが深い。しかし、自分が実況をするという発想はなかったという。

 女性アナウンサーのスポーツ実況は全国でも珍しいためだ。同局で、女性が野球実況を担当するのは2001年以来だという。「貴重なチャンスをしっかり形にして、今後も女性アナウンサーの実況が広がっていけば」

 段木さんの実況は、南北海道大会の大会初日(10日)第3試合、同2日目(11日)第1試合、同3日目(12日)第3試合、同4日目(13日)第1試合。福永さんは同4日目(13日)第2試合の予定。バーチャル高校野球でライブ配信するほか、J:COM札幌などでも放送する。(朽木誠一郎)