サッカーの東アジア最強国を決めるE-1選手権が始まった。日本代表は初戦で香港に6-1と大勝を飾った。その理由と、2戦目…
サッカーの東アジア最強国を決めるE-1選手権が始まった。日本代表は初戦で香港に6-1と大勝を飾った。その理由と、2戦目の中国戦での注意点を、サッカージャーナリスト後藤健生が現地からリポートする。
■遺憾なく発揮された「経験値」
ゲームキャプテンを任されたのは、左ウィングバックの相馬勇紀だった。国際試合の経験がほとんどない選手が多い中で、アタッカーとしては唯一キャップ数が10を超えている(14)のが、相馬だった。
そして、その相馬がその経験値を遺憾なく発揮した。
もちろん、大きなサイドチェンジを受けた右ウィングバックの久保藤次郎がドリブルを仕掛ける形もあったが、日本の攻撃は左サイドで始まることが多かった。
相馬が3バックの左に入った古賀太陽からパスを引き出し、インサイドハーフの宮代大聖を使って攻撃を組み立てる。そして、余裕を持って正確なクロスを何本も上げた。
そのクロスを受けて開始4分でシュートを決めて見せたのが、代表デビューのジャーメイン良だった。胸で止めて、反転して落ち際をボレーで決める見事な先制弾。2点目も再び相馬のクロスに合わせて、巧みにゴールの枠内に落とした。
サンフレッチェ広島に移籍した今シーズンは、ゴール量産とはいかずに苦しんでいるジャーメインだが、さすがのシュート技術(試合後、元広島の森保一監督はJリーグ後半戦での活躍を期待するコメントも発した)。
ジャーメインにとっては26分までに4ゴールという衝撃的な代表戦となったが、その勢いを引き出したのは相馬からの正確なクロスだった。試合の流れを作ったという意味でも、相馬の貢献度は高かった。
■「悪コンディション」の試合
全員がJリーグ所属の日本代表チーム。選手たちは7月5日にJ1リーグの試合を戦って、翌日に韓国へ移動。ピッチ上でのトレーニングは、たった1回という悪コンディションの中の試合だった。
たとえば、最大の貢献者だった相馬(FC町田ゼルビア)は、土曜日の清水エスパルス戦(3対0で勝利)でも先発し、85分までプレーしている。そして、中2日の香港戦で腕章を巻いて出場して、90分フル出場したのだ。
しかも、気温29度、湿度70%というコンディションの中で、だ(清水戦もほぼ同じ条件だった)。
■韓国戦は「再び」の中2日に
日本も連日の記録的高温に悩まされているが、状況は韓国でも同じ。香港戦があった8日には、首都ソウルで7月上旬としては観測史上最高の37.8度を記録したという。
このような蒸し暑さの中で、日本の選手たちは中2日で強度の高いプレーを展開したのだ。日本代表選手たちのタフネスぶりには敬意を表するしかない。
後半にパフォーマンスが落ちたのも致し方ない。中国戦までは中3日あるが、その後、韓国戦までは再び中2日。しかも、いずれの試合も相手のほうが1日休養日が多いというスケジュールが組まれているのだ(しかも、次第にチーム力が上のチームとの対戦となる)。