(8日、第107回全国高校野球選手権長崎大会1回戦 佐世保工3―4長崎総大付=延長十回タイブレーク) 一回裏、一塁手とし…
(8日、第107回全国高校野球選手権長崎大会1回戦 佐世保工3―4長崎総大付=延長十回タイブレーク)
一回裏、一塁手として捕球した佐世保工の山下太一主将(3年)の足に激痛が走った。甲子園をめざす最後の夏の初戦。グラウンドにとどまりたかったが、普通に歩けず、病院へ搬送された。肉離れだった。「この夏に全力を注ぎこんできたのに、けがをして、悔しくて、申し訳ない」と山下主将。
「太一のためにも負けられない」と、主将を欠いた佐世保工の選手たちは結束した。三回まで無失点。だが四回裏、長崎総大付が、松尾総悟選手の三塁打などで2点を先制。七回表、佐世保工が代打の中里新選手(同)の二塁打などで3点を奪い逆転した。だが、八回裏に同点に追いつかれ、延長戦に。
「自分の分まで任せたぞ」。松葉杖をついて病院から戻った山下主将は仲間一人ひとりに声をかけた。しかしタイブレークの延長十回裏、長崎総大付の松尾総悟選手のサヨナラ適時打で敗退した。
「声だけでも出して後押ししようとしたが、足りなかった。来年は甲子園に行けるように後輩に任せたい」。山下主将は涙を止められなかった。(上沢博之)