10日、センバツベスト4の浦和実が富士見との初戦を迎える。チームの大黒柱はエースの石戸 颯汰投手だが、このチームをまとめ…

10日、センバツベスト4の浦和実が富士見との初戦を迎える。チームの大黒柱はエースの石戸 颯汰投手だが、このチームをまとめる小野 蓮主将(3年)を評価する声は多い。

 試合中は三塁コーチャーとして的確な指示を送り、チームメイトに叱咤激励を欠かさない。そのキャプテンシーに、辻川 正彦監督も厚い信頼を寄せている。実際に話をしていても、高校生ではなく指導者と話をしている感覚にさせられた。

厳しく突き放す方法も他校の主将から学んだ

———新チームで主将になって、キャプテンとしてまずやったことはなんでしょうか。

小野 強豪校の主将に話を聞くことですね。聞くのはチームのまとめ方、それぞれのチームの決まり事に付いての意味合いとかですね。

 夏休みの練習試合の試合後、昼休みなどですが、少しだけ話をする時間があります。昨年の夏休みでは東海大菅生さんなど甲子園出場の強豪校と練習試合をすることが多くありました。しっかりとお願いをすれば、答えてくれました。

 自分たちのチームは遠征に行くことが多いんですけど、あるチームはすごく挨拶の良いチームでした。「なぜなのか」とその主将に話を聞きました。すると「挨拶は監督から大事だと常に言われています。挨拶することでコミュニケーションを取れるから」と答えてくれました。でもそれだけではないと思って、グラウンドに帰って考えたのは「チーム全員で挨拶することで一体感が生まれるんだな」ということでした。自分たちもしっかりと挨拶できるチームになろうと思いました。

———ただ目的だけを聞くのではなくて、なぜそれをやるのか?理由も聞いて、さらに自分でも考えるんですね。

小野 チームのために何かできることはないか。自分はスタメンではないので、役に立てることがあれば、チームの雰囲気を良くすることです。

 全てにそこに注ぐのではないですけど、強豪校の主将の話を聞いて、チームに取り入れられそうなものだったら、どんどん取り入れようと思いました。協力してくれた主将には「ありがとうございます」とお礼を言っています。試合をしたチームの主将に質問する姿勢は今も続けています。

———センバツでは大会前にキャプテントークもありますよね。出場校の主将たちと交流できたことでできたことは収穫があったのでは。

小野 もちろんありました。抽選会が終わった際、敦賀気比の岡部 飛雄馬くんなど強豪校の主将と仲良くなって、SNSの連絡先などを教えてもらいました。岡部くんって本当に良いキャプテンだと思っていて、僕にとってはとても有益なことを教えてくれました。

———たとえばどんなことですか?

小野 <チームの和を乱す選手がいた場合、どんなことをしていますか?>と聞きました。それまで自分は同じ方向に向かわせるためにフォローをするというか、持ち上げることをしていました。ただそれをやっていると先に進まないと思っていて、次に進まないと行けない時にできない選手に合わせないといけない。

 岡部くんに聞いたら<どんどん切り捨てていくよ>と答えてくれたので、驚いて<チームとしてどうなの?>と返したら、<自分についていくだけをついていかせれば、必然的に周りはついていくと思う>といわれて。自分もそれはやりたいと思っていたんですけど、なかなか踏み切れなくて…。その話を聞いて、抽選会後にやるしかないと思いました。

———その話を聞いて、実際どんなことをしたのですか?

小野 センバツ前の練習試合で、態度が悪いレギュラー選手がいたので、監督に直言して、試合から外す決断をして、その次の試合にも離れてもらいました。監督も自分の提案を受け入れてくれました。

 その選手は泣きながら謝ってくれました。そういった選手を許して妥協してはいけないとを知りました。こういう苦しいことを乗り越えながら、チームはまとまってベスト4に行けたと思います。

センバツ後も強豪校の主将に相談

練習する小野蓮主将

———ベスト4にいけたのは何が大きかったですか。

小野 やはりエース石戸の存在が大きいと思います。彼がしっかりと投げれば、失点を計算できるので、先制点をあげて守り抜く試合運びができればと思いました。

 あとは私生活、学校生活の大事さをずっと言ってきました。バラバラになりそうな時も、先程話したように主力を外したり、ミーティングで厳しい事を話したり、語りかけたりと、そういったことに気を配りました。センバツでは試合だけではなく、球場に入ってからのスピード感が求められます。そういうことを想定して行動してきたので、しっかりと大会に入れました。

 甲子園では想像以上に力が出すことができたと思います。自分たちが対戦して勝利した滋賀学園さん、東海大札幌さん、聖光学院さんはみんな自分たちより格上のチームです。勝てたことに驚きましたし、ここまで打てるのかということに驚きました。こんなに打球が伸びるのかと。甲子園は力を与えてくれる場所だなと思いました。

 甲子園が終わった後、地元の方に「ありがとう」という言葉を多くいただいて。自分が「ありがとう」という立場なのに……。そういう言葉をもらえて嬉しかったです。

———今のチームの状態はどうですか?

小野  甲子園とは逆の感じですね…。なかなか打てないですし、良い試合をしても負けてしまうという展開が多く、キャプテンとして悩む日々です。

———こういう苦しい期間だからこそ他のチームの主将と交流することはあるのでしょうか?

小野 やはりセンバツで仲良くなった主将とはLINE、インスタのDMで相談をしますし、6月には長野遠征に行ってきたんですけど、長野商さん、小諸商さんの主将の方に10分ぐらい話をさせてもらいました。その後も敦賀気比の岡部くんのほかには、常葉大菊川、聖光学院、高松商、東海大札幌など強豪校の主将にも話を聞いたり、連絡先も交換しました。

———悩みを聞いてもらう感じなんですか。

小野 話を聞いても、どのチームも同じ悩みを持っているんだなと思います。それを聞いて、強豪校もそういうことあるんだなと思って。周りに問いかけるようなことをして、チームを良くしている主将もいれば、あとは主将がしっかりとやって、模範を示す主将もいて、こんなやり方があるんだなと思って勉強になります。

———悩みに乗ってくれる良いキャプテンが多いですね。

小野 本当です。浦和実は初めて甲子園に行かせてもらったので、聞きづらいこともあるんですけど、こんなチャンスは二度とないと思って、名が知れた強豪校のキャプテンにLINEとインスタの交換をする感じですね。高校時代に強豪校との主将との交流があれば、いいなと思ったんですけど、まさか甲子園に出て実現するとは思いませんでした。こういう形で、交流出来て自分は楽しいですね。

———夏の埼玉大会の組み合わせも決まり、4回戦では浦和学院と対戦する組み合わせとなりましたが、キャプテンとしてはどう戦っていきたいですか。

小野 最初引いてしまった時は「やってしまったな」と思ったんですけど、色々考えた結果、メリットのほうが大きいんじゃないかなと思って。うちは選手層がどうしても薄いチームなので、体力があるうちに浦和学院さんとやれるのはメリットだと思っています。

———夏の再戦が楽しみになってきました。

小野 試合が近づくにつれて、選手たちの気持ちも上がっていくと思いますので、自分もそれをサポートしたい。また自分は春以降から試合に出させてもらう機会が増えていて、試合に出られるように練習を重ねています。選手としても貢献できるようにしたいと思います。