<2025年全国高校野球選手権大会東東京大会:安田学園11-5小松川>◇8日◇2回戦◇明治神宮野球場

 2013年春のセンバツに悲願の甲子園初出場を果たした安田学園。それから、12年の歳月を経たが、東東京大会では上位をうかがえる強豪校としての存在は変わっていない。とは言うものの、この春の都大会は、2回戦で文京に屈してしまった。それだけにこの夏への思いは強い。

 小松川はかつて南葛飾郡立実科高等女学校として創立された伝統校で、下町の都立進学校として人気がある。限られた条件下ではあるが、部活動もそれぞれが頑張っている。この春の東京都大会はブロック予選で九段中教校に敗れて都大会進出はならなかったものの、この夏にかけている。

 小松川が強豪の安田学園に挑むという形の戦い。小松川は先制されても食い下がった。5回までは得点こそ安田学園がリードしていたものの、小松川の方がベンチも勢いがあり「ひっくり返すかもしれないぞ」という雰囲気を感じさせた。

 小松川は今春、大森から異動してきた西野凌平監督が指揮を執ることになった。西野監督としても、「まずは、このチームで、夏までの3カ月の中で何ができるのだろうか」ということを模索したという。そして、この夏を目指してどう仕上げていくのかということを見つめて、「このチームは代継(よつぎ)航基が中心となっていくチームなので、そこで挑んでいくしかない」という思いになったという。

 その代継投手(3年)は、打っても5番を任されている。投手としては立ち上がりは安田学園打線を3者凡退で抑えて好調。しかし結果的には、2回以降、細かく失点をしてしまい、安田学園のソツのない攻撃に屈したという形になってしまった。

 打線も、もう一つ返しきれなかったのが悔やまれる。それでも8回、2点を奪われて7点差の10対3とコールドゲーム直前の場面で、2四球で走者をためて、2番水谷 祐哉選手(3年)が中越二塁打。2人を還してコールド負けを阻止した意地は評価されていいであろう。

 安田学園は、巨人の阿部 慎之助監督の母校でもあるが、會田 元気監督の元にも阿部監督から、大会前にメッセージが届いたという。會田監督は、それを生徒たちにも公開して、モチベーションを高めているという。また、選手たちも、そのことで意識は上がっていっているようだ。