(8日、第107回全国高校野球選手権佐賀大会2回戦 伊万里実2-7北陵) 「打てないですね。球が速くみえました」。伊万…

 (8日、第107回全国高校野球選手権佐賀大会2回戦 伊万里実2-7北陵)

 「打てないですね。球が速くみえました」。伊万里実の4番、中島龍牙選手(3年)は努めて明るく振り返った分、悔しさが透けた。

 一回、先取点の好機は空振り三振だった。三回も空振り三振の後、六回1死三塁でスクイズのサインが出た。外角の球をバントの構えで空振り。「あれは、当てないと。その裏に5点取られた。何とかファウルにしとけば……。しかもその後三振、流れが完全に切れましたね」

 統合7年目の伊万里実は夏の大会初勝利をめざした。ともに甲子園に出場したことがある伊万里商と伊万里農林が2019年に一緒になった。今年のチームは、3年生4人で引っ張ってきた。

 エースで主将の江口勇斗選手は「最初は不安だったけど、逆に結束力が高かった」と言う。4人のうち3人は下位打線で、中島選手が攻撃の中心と期待された。

 3連続空振り三振の後、今大会で監督を退く秀坂常紀監督(57)が「初球に全く手が出ていないぞ」と声をかけた。積極的にいくようにと最後のアドバイスだった。

 九回2死から、中島選手に第4打席がまわってくる。「初球からタイミングが合えば振っていく」。1ボールの後、それまで見逃してきた第1ストライクを思い切り振り抜いた。

 中飛で試合は終わった。「打てる時と打てない時の差がものすごくあって、今日はダメな日だったかもしれない」。夏、校歌を歌うことは、後輩たちに託した。(森田博志)