お米の値段の高騰は、夏の地方大会に向けて調整をしている全国の高校球児たちの食事事情にも影響を及ぼしている。 春の神奈川…

 お米の値段の高騰は、夏の地方大会に向けて調整をしている全国の高校球児たちの食事事情にも影響を及ぼしている。

 春の神奈川県大会で公立校で唯一8強入りした川和(横浜市都筑区)は、米価格の高騰で部費の見直しを余儀なくされた。

 55人の選手の補食として、1日にご飯55合とみそ汁12リットルを用意する。選手たちは、どんぶりによそったご飯をみそ汁とともにかき込む。自宅からふりかけやレトルトカレーを持ってくる部員もいた。

 保護者会が部費で米を購入しているが、保護者の一人は「価格が高くなり、部費でまかなえなくなってきた」と話す。2024年度の補食代は、23年度の1.5倍になった。今年度からは部費を増額している。

 かつては卵も1日60個ほど購入していたが、2年前の価格高騰に伴ってやめた。しかし、保護者は「選手たちの体を大きくするために、米の補食をなくすことは考えられない。他に無駄な支出がないように気をつけている」と話した。

 昨夏の神奈川大会で4強入りし、約100人の部員を抱える私立の向上(神奈川県伊勢原市)は、「強化食」として1日に100合の米を炊いてきた。

 選手らは練習の合間に、持参したふりかけや缶詰をおかずに、1合分のご飯を食べる。中心打者の古知屋航平選手(3年)は「夏場に体重を落とさないためにも強化食は重要」と話している。

 顧問の西嶋豊教諭によると、近所の農家から年度ごとに複数回、300キロずつお米を購入していた。だが今年3月、いつもの農家から「在庫が切れたので今年は売れない」と連絡があったという。

 急きょ、保護者たちに農家のつてがないかメールで呼びかけた。複数の農家からなんとかお米を調達することができたが、価格の高騰などもあり、ほぼ毎日だった強化食の提供は週3回に減ったという。古知屋選手は「回数が減った分、自宅でたくさん食べるなど対策している」と語った。

 岐阜県立大垣西野球部は週2回、筋力トレーニング後におにぎりを食べてきた。部員は43人で、1人二つまで。米山俊祐部長は「できるだけ消化のいい、自然の食べ物で増量してほしい」と補食はお米にこだわってきた。

 だが、昨年から値段が高くなり、部費でまかなうことができなくなると、今年2月ごろから購入をストップした。

 しかし、5月末ごろに地元のある農家から救いの手が。「応援してるから」という理由で、30キロのお米を安価で購入できたという。「生徒にとっても大事なお米。ありがたい」と話す。