(8日、第107回全国高校野球選手権鹿児島大会1回戦 ラ・サール0―10加治木) 一回表2死、走者なし。ラ・サールの3…

 (8日、第107回全国高校野球選手権鹿児島大会1回戦 ラ・サール0―10加治木)

 一回表2死、走者なし。ラ・サールの3番打者、佐々木康捕手(2年)は「三者凡退では終われない」。シード校の加治木を相手に、試合の主導権を握るためにもなんとか塁に出たかった。

 打席に立つと、相手投手の変化球がコースに決まっていなかった。自身が捕手としての立場から、バッテリーの配球がわかった。「次は真っすぐが来る」。読み通りに4球目の直球を左前にはじき返した。結果的に、これがチーム唯一の安打になった。

 ラ・サールは土曜日も授業があり、他校に比べて練習試合が少ない。練習時間を確保するため、昼休みに制服のままノックを受けるなど知恵を絞っている。佐々木捕手は中学時代は内野手。小学生時代、ソフトボールチームで捕手をしていた経験を買われて高校から正式な捕手となった。

 この日、バッテリーを組む先発のエース、丹原万雄投手(3年)とは、「緩急を使って打たせてとろう」と作戦を立てていたが、相手打線が上だった。

 球が高めに浮いたところを狙われ、序盤からピンチが続く。リリーフした小野寺拓音投手(2年)も打たれ、二回を終わって6失点。佐々木捕手も四回途中で、捕手から三塁手に交代となった。「浮足だってしまった。自分がもう少し落ち着いて投手に声を掛けることが出来ていたら」と悔やんだ。

 「来年こそは1回でも多く勝ちたい」。勉強では医学部合格が目標で、野球との文武両道を目指す。(井潟克弘)