<2025年全国高校野球選手権大会西東京大会:広尾11-5大山>◇7日◇2回戦◇明治神宮野球場

 広尾には最速145キロの速球を投げる古荘 敦士(3年)がいる。初戦の大山戦では、1イニング程度の調整登板の予定であったが、大山の健闘により、ピンチの場面での登板になり、存在感を示した。

 大山は2017年から22年までは連合チームで大会に出場しており、部員数が少なく、実力的にも、さほど高いわけではなかった。しかし2年前に学芸大でプレーし、都立の強豪・片倉でベテラン・宮本 秀樹監督の下で顧問を務めた馬場拓己が監督に就任し、変わり始めた。馬場監督が大山に赴任した時、部員は2人しかいなかったという。熱心に声をかけ、集まった生徒たち。その時の1年生が3年生になったのが、現在のチームだ。まだ都立の強豪と言うレベルではないものの、これまでの認識を改めなければならないと感じさせる戦いぶりであった。

 この試合、1回表大山は、広尾の先発、背番号11の岩下 将隆(2年)の立ち上がりを攻め、4番・岡田 聖梧捕手(3年)の中前安打で1点を先制した。

 その裏広尾は、4番・関 秀丸内野手(3年)の二塁打や6番・玉田 真起哉内野手(3年)の三塁打などで一気に4点を挙げて逆転する。

 しかしその後大山は、先発の平田 成海(2年)、2番手の小林 竜輝(2年)とつなぐ投手陣が踏ん張り、4回、5回、6回に失点したものの1点止まりに抑えた。

 その間に大山は2回表に1点、7回表に小林の二塁打などで2点を挙げて追い上げる。さらに8回表は、一死二塁から7番・八巻 謙蔵外野手(3年)、8番、途中出場の田口瑛士内野手(1年)の連続安打で1点を挙げ、5-7と2点差に迫った。

 ここで広尾は、エースの古荘を投入する。調整登板ではなく、緊迫の場面でのリリーフとなったが、「投げる自信はありました」と古荘。ただ制球の乱れがあり大山の9番・清水 大翔外野手(2年)に3ボール1ストライクと、ボールが先行する。「緊張してブレてしまいました」と古荘は言う。しかしそこから、球威で抑え込み、三振に仕留める。大山の1番・室田 悠稀内野手(3年)には四球で満塁となったが、2番・小林は右飛で同点にはさせない。

 その裏、広尾は4点を挙げ、試合を決めた。9回裏には安打1本を打たれたものの無失点に抑え、広尾が3回戦進出を決めた。

 今でこそ140キロ台半ばの速球を投げる古荘だが、入学したころは110キロから115キロ程度の球しか投げられなかった。「中学生まではぶよぶよでした」と言う古荘は、高校に入ってトレーニングを楽しいと思い始める。昨年の春は足を痛めて1か月ほど通常の練習ができない時期もあったが、その時期に上半身を徹底的に鍛えた。そうした努力の積み重ねで、球威を増していった。広尾の安部 雄大監督は「まだまだ伸びると思います」と期待する。身長186センチ、体重88キロという体格に、高校に入ってからの急成長。今後が楽しみな投手が出現した。