(7日、第107回全国高校野球選手権群馬大会1回戦 高崎商大付5―3前橋東 延長10回タイブレーク)  同点で迎えた九回…

(7日、第107回全国高校野球選手権群馬大会1回戦 高崎商大付5―3前橋東 延長10回タイブレーク)

 同点で迎えた九回表、前橋東のエースで主将の高草木瑠海(るか)(3年)はマウンド上で笑顔を見せた。「こんな楽しい試合はない。3年間で今が一番」。強豪私立の高崎商大付を相手に気後れすることなく挑んでいた。

 曲がり幅が大きくキレのあるスライダーが持ち味。昨夏の群馬大会で3回戦まで3試合23イニングを1人で投げて無失点。準々決勝で前橋商に敗れたが、ベスト8の立役者として注目された。

 先取点を奪ったのは前橋東。一回に紺野雄太郎(3年)の適時二塁打などで2点を奪うと、同点とされた三回に紺野の適時二塁打で一時リードした。だが七回に再び同点に。高草木は気迫を込めて「ここから集中。誰一人気を抜くんじゃない!」とチームを鼓舞した。

 延長十回タイブレーク。犠飛と適時二塁打で2点を奪われる。それでも「マウンドは一番みんなから見える場所だから」と明るい表情を絶やさなかった。その裏、高草木の二塁ゴロが併殺となり、試合が終わった。「高校野球が終わってしまったのが信じられない。明日からどうしよう……」。涙がこぼれた。

 最後の夏は1回戦で敗れたが、強豪相手に終始拮抗(きっこう)した勝負を見せた。143球完投。打者を打ち取るたびに観客を幾度も沸かせた。「野球と一緒に成長してきた。この経験値は、どこにも負けてない」。チームの躍進は後輩に託した。(中沢絢乃)

■群馬大会、前橋工が九回逆転サヨナラ勝ち

 第107回全国高校野球選手権群馬大会(朝日新聞社、群馬県高校野球連盟主催)は7日、3球場で6試合があった。関東学園大付は三回に2者連続本塁打を放つなど猛打を見せたが、前橋工が劇的な九回逆転サヨナラ勝ち。高崎商大付が前橋東に延長十回タイブレークの末に勝利。館林が沼田に、高崎北が安中総合に競り勝つなど、好ゲームが多かった。8日は3球場で1回戦6試合が予定されている。