2イニング限定で投げ続けている大谷。少しずつ負荷を増やしている偉才の起用法は小さくない議論を生んでいる。(C)Getty…

2イニング限定で投げ続けている大谷。少しずつ負荷を増やしている偉才の起用法は小さくない議論を生んでいる。(C)Getty Images
登板毎にギアが上がり、相手打線を圧倒し始めている大谷翔平(ドジャース)。いわゆる「オープナー」での登板が続く二刀流スターの起用法を巡っては異論も聞こえている。
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去る6月16日のパドレス戦で復帰して以来、大谷はすでに4度も先発。メジャーリーグ移籍後で自己最速となる101.7マイル(約163.7キロ)の快速球を投げ込むなど、直球の平均球速は98.4マイル(約158.3キロ)と安定。ちなみにこの球速帯は、スモールサンプルながら右肘にメスを入れる以前の23年に記録した96.8マイル(約155.7キロ)を上回っている。
大谷本人が「1回目よりやっぱり感覚は術後からすごい良かった」とも振り返った状態の良さからして、完全復活を印象付けられている。それでもドジャース首脳陣は再発防止策を徹底。デーブ・ロバーツ監督も「しっかりした基礎が築けるように多くの時間をかけている。9月までに5イニングは投げない」と明言しており、今後もイニング制限は続くとみられている。
無論、大谷のショート登板が続けば、負担がかかるのは、後続を託されるブルペンだ。今季はブレイク・スネル、タイラー・グラスノー、そして佐々木朗希が故障で離脱し、先発ローテが苦しい中でリカバリーに奔走している中継ぎ陣は、大谷の“オープナー”が加わることで仕事量が増える現実は避けられない。
現時点で大谷のバトンを受けているのは、ベン・カスパリアスとジャスティン・ロブレスキー。元々先発経験も豊富な若手投手がロングリリーフで奮闘しているが、彼らの負担増加は、先を見据えれば、小さくない懸念材料になる。
ゆえに大谷を制限下からいつ開放するべきかは議論の的となる。MLBの公式ネット局『MLB Network』の番組「MLB Now」に出演した米紙『New York Post』のジョン・ヘイマン記者は「たしかにオオタニという男は驚異的だが、5日ごとにブルペンゲームになる現状はチームにとっていいことではない。とくに今年のドジャースにとってはね」とキッパリ。そして、次のように指摘する。
「年間を通してそんなことをやっていればブルペンがいい状態になるわけがない。すでにドジャースは何人かの中継ぎ投手が負傷者リスト(IL)に入っている。多い時は15人の投手がIL入りしていた。これは信じられない状況です。もっと、彼だけじゃなく全員の健康を維持する必要がある」
確かにブルペン酷使が続く状況は、長期的に見て、歪みを生む可能性もある。それでも「今の段階で彼を自由に投げさせるわけにはいかない」(ロバーツ監督談)と逆風にさらされながらリハビリを続けるドジャースと大谷からは、“完全復活”に向けた確固たる覚悟がにじみ出ている。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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