(7日、第107回全国高校野球選手権佐賀大会2回戦 佐賀農12―1厳木=七回コールド) 厳木の川崎優凜(ゆうり)選手(…
(7日、第107回全国高校野球選手権佐賀大会2回戦 佐賀農12―1厳木=七回コールド)
厳木の川崎優凜(ゆうり)選手(3年)が練習に参加したのは3週間ほど前、正確には「復帰」ということになる。「先生に出るかと言われ、『出れまーす』って言ったら、すぐ決まった」
6月にあった夏前の最後の公式戦、厳木は10人で臨んだ。選手を1人交代させた後、守りで中堅手の丸田孔明選手(2年)が右翼手と激突して鎖骨を骨折。試合を続けられず没収試合になった。夏へ、「どうにか部員を増やさないと」(谷口卓監督)というのが喫緊の課題になった。大会に登録できたメンバーは14選手で、この日は12人がベンチ入りした。
呼び戻された川崎選手は2年前の夏、厳木の試合を応援にきた。「負けた(2―5唐津商)けど、熱かった」。中学時代は野球部。白球が恋しくなり1年の夏に入部した。その冬、腰を痛めてしまう。「スポーツを続けるとさらに悪くなるかも」と言われた。グラウンドを離れ、伊万里市内の焼き肉店でアルバイトをした。
最後の夏には練習試合を4試合こなし臨んだ。「助っ人」だから、控えと思っていたが、「6番、右翼」で先発。「出られるとは思っていなかった」と戸惑いと緊張があった。
初回の守り、いきなり飛んできた打球を無難に捕って落ち着けた。照りつける暑さの中、右翼からみるグラウンドは格別だった。七回の最後の攻撃では中前安打を放った。「楽しかったけど、悔しいっす」。正直な感想だった。
3年生1人で引っ張ってきた主将の吉野恭梧選手は「最後に2人で出られてよかった」と話した。
4月に就任した谷口監督は、2014年に佐賀北で夏の甲子園に出場した。当時3年生は30人ほどいたという。「野球のスタイルは変わらない。ただ、できることが限られるので、一つずつテーマを持って取り組んでいます」。1学年定員80人の小規模校で、1年目の挑戦が終わった。(森田博志)