(7日、第107回全国高校野球選手権広島大会1回戦 福山工8―1呉商) 「高校に入った時は、どうしようもない子でした」…
(7日、第107回全国高校野球選手権広島大会1回戦 福山工8―1呉商)
「高校に入った時は、どうしようもない子でした」
福山工の佐々木瞭主将(3年)は、苦笑いしながら振り返る。授業中に居眠りしたり、学校にスマートフォンを持ち込んで見つかったり。母の純子さん(56)も「本当に心配でした」と話す。
野球部に入ったものの、練習に身が入らなかった。「中途半端にやっていて楽しくなかった」と佐々木主将。1年目の夏が終わると、部活をやめようと考えた。
だが、一つ上の先輩から「佐々木がチームを引っ張らないけんのんじゃけえ、もう1回頑張ってみよう」と声をかけられた。楽しそうに野球をする先輩をみて、真剣に野球に向き合おうと決めた。
伊藤誠資監督の「学校生活は野球につながるぞ」という言葉が、心に響くようになった。校則を守り、授業中は先生の話をしっかり聞く。1年の時に赤点をとった試験は、満点をとれるようになった。
そんな佐々木主将の成長を、伊藤監督は信じていた。佐々木が主将を務められるようになれば、チームも成長しているはず――。2年生で唯一、夏のベンチに入った力だけではない。思いやりのある、やさしい性格だと見抜いていた。
この日、呉商との初戦で3番に座った。三回に四球で出塁すると、味方の適時打で本塁を踏んだ。六回には安打を放ち、存在感を示した。守っては、三塁手として難なくゴロをさばいた。
7回コールド勝ち。試合後、母親の前で照れくさそうに言った。
「野球が人生を変えてくれた。感謝しながら福山工らしい野球で次も戦いたい」(遠藤花)