短いイニングで異彩を放つ大谷。(C)Getty Images 炎天下のマウンドで、ドジャースの背番号17はまたも異彩を放…

短いイニングで異彩を放つ大谷。(C)Getty Images

 炎天下のマウンドで、ドジャースの背番号17はまたも異彩を放った。

 現地時間7月5日、本拠地で行われたアストロズ戦にドジャースの大谷翔平は「1番・投手」で先発登板。2回(31球)を投げ、被安打1、無失点、3奪三振と好投。最速100.9マイル(約162.4キロ)を投げるなど、手術からの完全復活を目指している右肘の状態の良さも感じさせた。

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 もっとも、この日も「投手・大谷」が見られたのは、わずか2イニングのみだった。去る6月16日のパドレス戦で復帰して以来、メジャーリーグに舞台で“リハビリ”を図っている二刀流スターが消化したのは、わずか6イニング。先発投手としては圧倒的に短い。メジャーリーグ移籍後で自己最速となる101.7マイル(約163.7キロ)の快速球も投げ込んでいる姿を見れば、もうすぐにでも5イニング以上を投げられるのではないかと思えてくる。

 実際、リハビリ登板の経過を厳しく見る識者は少なくない。元マーリンズ球団社長のデビッド・サムソン氏は「5、6日に1回、1イニングだけの登板などリハビリにもならない。本気で調整させる気があるのか」と論じ、メジャーリーグの公式戦でリハビリ登板を行う判断そのものを批判している。

 ただ、「今の段階で彼を自由に投げさせるわけにはいかない」と語るデーブ・ロバーツ監督を筆頭に、ドジャース首脳陣に焦りの色は微塵も見られない。彼らは世間のネガティブな見方を意に介さず、大谷の状態に慎重だ。残り約8年の契約を残している球団にとってみれば、肘の怪我の再発こそ何よりも恐れる事態。そのリスクを最小限にとどめながら、最適なパフォーマンスを引き出そうとしている段階なのである。

 そんなドジャースの計画は、現地の著名記者も明確に分析している。米スポーツ専門局『ESPN』のジェフ・パッサン記者は「ドジャースは慎重なままだ。今後もしばらくは今の方針を続けるはずだ」と断言。「ショウヘイが『もっと投げられる』と言うまでは、急ぐ必要はないという姿勢を貫くだろう」と論じた。

ドジャースが垣間見せる選手ファーストの余裕

「今年は多くの怪我人によって投手層の真価が試されているが、ドジャースがオオタニに関して焦らない理由は別にある。彼らの基本方針は『自分たちはプレーオフに出る。そこに行ったときにどう最大限に戦力の力を発揮させるか』だ。だからこそ、オオタニをシーズンの前半戦から無理に登板はさせる必要はない。つまり、ポストシーズンが始まる10月に向けて、彼らは“弾丸”を温存しているんだ。彼らにとって10月こそが最も重要な時期だから」

 ポストシーズン進出を大前提とするのは、さすが“常勝軍団”。世間の批判的な声にも動じずにステップを踏ませるところにも、選手ファーストの余裕が垣間見える。

 先述のアストロズ戦後に「もともと決まっているイニングをまずは消化すること。行けるからと言っていくことが、必ずしも良い答えだとは思わない。まずは後退しないようにステップを前に進めることが大事だと思う」と現況を語った大谷。慢心せず、焦らずに一歩ずつ歩み続ける偉才の復帰ロードが、この先にどう進んでいくかは実に興味深い。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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