◇国内女子◇資生堂・JAL レディスオープン 最終日(6日)◇戸塚CC西C(神奈川)◇6766yd(パー72)勝利への…
◇国内女子◇資生堂・JAL レディスオープン 最終日(6日)◇戸塚CC西C(神奈川)◇6766yd(パー72)
勝利への執念だった。2020年メジャー「日本女子プロ選手権」以来の3勝目を狙った最終日。首位から出た永峰咲希のスコアがなかなか伸びない。「もう負けたかなって思う瞬間が、一日に何回もあった」。アイアンショットも乱れてチャンスにつかず、気持ちは折れかけていた。
この日は木戸愛と並ぶ首位タイからスタート。同組の木戸、佐久間朱莉が前半3番までにバーディを奪う中、永峰の1つ目は9番に来た。「上がり3ホールは心拍数が上がっていたからか、フワフワしていた。熱中症なのか分からないけど、気づかないようにして…」。後半16番(パー5)でようやく2つ目のバーディを奪った。
1打リードで迎えた最終18番、木戸が12mのロングパットを沈めると、地響きのような歓声が起こった。「入った瞬間の歓声が本当に身体の中に響いて。目が覚めた。他人の歓声でこんなに人間ってモチベーション上がるんだなって」。土壇場で追いついてきたライバルの気迫に奮い立った。
アドレナリンが出たのか、木戸と通算9アンダーで並んで臨んだプレーオフは正規の後半よりも集中力が増していたという。「頭はすっきりしていた。気楽ではないけど、冷静に」。木戸がボギーをたたいた3ホール目をパーとした。最高気温34.2度を記録した横浜で、6時間にもわたる死闘を制した。
25歳で制した2020年の国内メジャーは「実力がまだまだなのに、メジャーチャンピオンという肩書をもらって、それがプレッシャーになっていた」と振り返る。
それでも自信を持てるよう、ショット、パッティング、メンタリティと一つひとつを磨いてきた。「“ちりつも”じゃないですけど、本当にちょっとずつ、ちょっとずつ成長してきた」と話す。
今年4月に30歳を迎えた。「30かあって思いました。同年代も、先輩たちも頑張っている。まずは1勝して、追いつきたかった。30代で勝てたのはうれしかった」と節目で勝てたことを喜ぶ。
「でも、今年がこれまでで一番状態が良い。このあとも2、3、4勝目と目指して、頑張っていきたい」と立ち止まるつもりはない。30歳、まだまだこれから。台頭する若い世代にも、負けていられない。(横浜市旭区/合田拓斗)