(6日、第107回全国高校野球選手権京都大会2回戦 京都国際7―2西舞鶴) 最後の打者を空振り三振に抑えても、表情は淡…

 (6日、第107回全国高校野球選手権京都大会2回戦 京都国際7―2西舞鶴)

 最後の打者を空振り三振に抑えても、表情は淡々としていた。

 京都国際の背番号「10」、酒谷佳紀(3年)は夏の初登板となったマウンドで9回2失点と完投した。

 「少ししんどかった部分もあるけど、とりあえず初戦を勝てて安心っていうのが一番でした」

 昨夏の甲子園で初の全国制覇を果たした京都国際は、今大会をノーシードで臨んでいる。大事な初戦で先発を任された酒谷は「緊張はあったけど、試合直前は『みんなで勝てる』という雰囲気が流れていて投げやすかった」と振り返る。

 昨夏は京都大会の直前で肩の筋肉を痛めて、ベンチ入りを果たせず。歓喜にわく仲間たちを甲子園のスタンドから眺めた。「自分も入りたかった」

 身長184センチの体格を生かした最速145キロの直球が持ち味だ。この日は制球に苦しむ場面もあったが、途中から「三振ではなく、ストライクゾーンに集めて打たせて取ろう」と切り替えた。2年から活躍する同級生のエース西村一毅(3年)に劣らない力を発揮した。

 父・敏さんは育英(兵庫)の投手で、第75回(1993年)で全国制覇を果たした。酒谷は「(小牧憲継)監督からは『親は優勝してんねんから、お前もせいよ』といじられる」と笑い、「お父さんと一緒の結果を出せれば一番の親孝行かなって思うので、優勝したいという気持ちは強いです」。

 チームは昨秋の府大会4回戦で負けて選抜を逃し、今春の府大会も序盤で敗退した。

 小牧監督は「秋と春と全く結果が出ていませんし、連覇のプレッシャーというよりは、とにかく一戦ずつ戦う」と話す。「王者というようなきれいな勝ち方じゃなくても、がむしゃらに泥臭く、最終的に相手を上回っていたらいい」

 前チームに比べると、公式戦の場数は圧倒的に少ない。この日のスタメンのうち、昨夏の甲子園に出場した選手は1番・中堅の長谷川颯(3年)だけ。1年生も2人が名をつらねた。経験値が他チームよりも上とは言いがたい。

 だからこそ、小牧監督は大会中の飛躍に期待する。「勝ち続けることが彼らの成長促進剤になる」。完投した酒谷も「自信になった」とうなずいた。

 史上7校目となる夏連覇に向け、挑戦は始まったばかりだ。=あやべ・日東精工(室田賢)