(6日、第107回全国高校野球選手権宮崎大会1回戦 日向学院7-0飯野・福島)  今年の「夏」は、少し早く終わった。飯野…

(6日、第107回全国高校野球選手権宮崎大会1回戦 日向学院7-0飯野・福島) 

 今年の「夏」は、少し早く終わった。飯野・福島の連合チーム。福島3年の大嶋龍之介主将は、飯野の仲間たちと「一球に、ワンアウトに全員で盛り上がろう」と決めて臨んだ初戦だった。

 四回裏1死一、二塁のピンチを好守備で切り抜けた。飯野で唯一の3年、一塁手の村上天逢選手とベンチ前でグラブを重ね、ハイタッチ。一塁側スタンドからは、大声援がわき起こった。

 昨夏、3年生が抜けると両校の選手は計11人だった。平日はそれぞれ練習し、週末にどちらかで合同練習や練習試合。互いの顔もよく知らない状態から、チームはスタートした。

 大嶋主将は飯野の選手と会うたびに声をかけ、距離を縮めようとした。自身が足を骨折して試合に出られなくなった時には、「早く戻ってこい」と逆に励まされた。昨秋の県大会は2勝して3回戦に進出。泊まりがけの遠征もして、さらに仲を深めた。

 この日は中盤に点差を広げられ敗れたが、星原貴浩監督は「選手たちには難しい状況で野球を頑張ったことが、未来への希望に変わると伝えたい」。大嶋主将は「全力で盛り上がり、全力でプレーできた。ありがとうと言いたい」。

 村上選手は「本当のことをいうと」と切り出し、こう続けた。「もうちょっと一緒に、同じチームで戦いたかった」。チームの気持ちは、一つになっていた。(奥正光)