(6日、第107回全国高校野球選手権佐賀大会1回戦 唐津西8―6嬉野) 嬉野の主将、大山晴生(はるき)選手(3年)は、…

 (6日、第107回全国高校野球選手権佐賀大会1回戦 唐津西8―6嬉野)

 嬉野の主将、大山晴生(はるき)選手(3年)は、先発しなくても忙しかった。三塁コーチャーとして、走者に指示を出すだけでなく、身ぶりや拍手で打者を落ち着かせたり、打ち気にさせたり。ピンチを迎えるとベンチから伝令に走った。

 145キロを超える速球を投げ込んだ林龍之介投手(3年)が三回に連続死球を与えると、「まだ序盤。あせることはない」とマウンドで一息つかせた。

 「地元の仲間で集まり、甲子園に行くのが夢だった」と、今夏の登録メンバーには大山選手ら嬉野中出身の3年生が6人いた。そこへ鹿島西部中では野手だった林が投手に転向して急成長、夢が膨らんだ。

 植松幸嗣監督は「個性派ぞろいをうまくまとめてくれるはず」と大山を主将に指名した。

 大山選手は「言っても聞いてくれない仲間もいたが、2人の副将に助けてもらいながら」引っ張ってこられたという。

 1点を追う八回、代走を告げられると、三塁コーチャーから一塁へ。「足には自信がある。機会があれば使うと言われていたので、緊張はなかった」。

 盗塁を狙おうとリードを広げ、牽制(けんせい)アウトになりかけたのは気持ちの表れだ。そのまま右翼の守備につき、4点を追う十回は打順がまわってきた。「主将として一発出して、息を吹き返す」と意気込んだが、代打を告げられた。代わった同級生が適時打を放ち、「先生の采配は間違っていない」と納得できた。

 背番号は「10」。「1桁はもらえなかったけど、1桁の選手が頑張ってくれたので、悔いはない」と言い切った。(森田博志)