(6日、第107回全国高校野球選手権三重大会 相可2―1四日市工) 打席で笑顔、守備でも笑顔。主将は笑顔を絶やさない―…

 (6日、第107回全国高校野球選手権三重大会 相可2―1四日市工)

 打席で笑顔、守備でも笑顔。主将は笑顔を絶やさない――。

 その教えを実行してきた相可の森下隼太郎(しゅんたろう)主将(3年)が3安打2盗塁1得点の活躍で、辻宏樹監督(24)に夏の初勝利をプレゼントした。

 一回、一番打者の森下主将は安打で出塁すると、すかさず二盗。犠打と犠飛で生還して効率よく先制点をあげた。

 「足には自信がある。監督に自分の判断でスタートしていいと言われた」という。四回にも安打で出塁し、二盗に成功。その後の三盗は失敗したが「ごめん、ごめん」と笑顔で守備についた。

 7年前、白山の主将として夏の甲子園に出場し、テレビドラマ「下克上球児」のモデルにもなった辻さんが監督に就任したのは今春。寡黙で消極的な選手が多かったため「主将が暗い顔だと伝染する。どんな時でも笑顔を忘れるな」と森下主将にも言い続けてきた。

 この試合、1点差に迫られて迎えた五回の守備。1死二塁のピンチでも、二塁手の森下主将は「大丈夫、このまま行ける」と笑顔で味方を励ました。中瀬翔陽(しょうや)投手(3年)は立ち直って9イニングを投げきり、最後の打者を打ち取ると、選手全員が笑顔でマウンドに駆け寄った。

 「一回の1点で波に乗れた。うちの最大の戦力は笑顔。スクイズの失敗もあったけど、ゲームを楽しめたのならいい」と辻監督。森下主将は「3安打は公式戦で初めて。最初は監督ばかりが注目されるのに抵抗があったけど、今はついでにメディアに取り上げられるのを楽しんでいる」。笑顔で語った。(本井宏人)