<第107回全国高等学校野球選手権京都大会:木津10-3朱雀・京都教大付・大江(8回コールド)>◇5日◇1回戦◇わかさス…

<第107回全国高等学校野球選手権京都大会:木津10-3朱雀・京都教大付・大江(8回コールド)>◇5日◇1回戦◇わかさスタジアム京都

 この日、8回コールド負けを喫した朱雀・京都教大付・大江の連合チーム。大江には野球部員が1人しかいない。それが1番一塁で出場した西山 珀斗内野手である。

 大江は西山が入学した時点で野球部員が0人。それでも小学1年生から続けてきた野球を辞める選択肢はなかった。

 平日は3人の指導者と個人練習に励む日々。土日は連合チームの合同練習に参加した。練習は人数の多い京都市の朱雀で行うことが多く、自宅のある福知山市から電車で2時間近くかけて通っていたという。

「最初の頃はつまらなかったけど、連合チームでの野球は楽しかったです。平日は自分の課題を埋めるために頑張っていました」と地道な努力で着実に力を付けた。連合チームの仲間とも仲良くなり、休みの日は一緒に遊びに行くこともあったという。

 朱雀や京都教大付の選手にとっても西山はかけがえのない存在。朱雀は1年生が入って、単独チームでも出られる人数になったが、「最後も一緒にやりたい気持ちがありました」(山内 舞夢主将・3年)と共に戦うことを決断した。

 ミート力がウリの西山は1番打者として出塁を期待されていたが、4打数無安打。「僕が先頭で出ることができなくて、チームに流れを持ってこられなかったことが悔しいです」と目を潤ませた。

 それでも1人で高校野球をやり遂げたことは大きな財産になる。「練習も自分で決めていたので、自立する力がつきました。普通では出会えなかった仲間には感謝しかないです」と3年間の想いを語った。

 これで大江から野球部員はいなくなってしまうが、西山は今後の野球部の繁栄を願っている。「最近は全然勝利していないので、いつか大江が勝利する日が来てくれたらと思っています」とまだ見ぬ後輩に想いを寄せてユニフォームを脱いだ。