第107回全国高校野球選手権福岡大会が5日、久留米市野球場で開幕した。大会には134校132チームが出場。開幕試合では…

 第107回全国高校野球選手権福岡大会が5日、久留米市野球場で開幕した。大会には134校132チームが出場。開幕試合では、福岡西陵が六回に5点を挙げるなどして、浮羽工に逆転勝ちした。6日は5球場で1回戦計13試合が予定されており、第1試合の前には小学生が始球式を行う。

 開会式は前年に引き続き選択制で103チームが参加。チームごとに整列した選手らは観客席の保護者らから大きな拍手が送られる中、外野から内野へ向かって一斉に行進した。

 県高野連の古閑長彦会長は「自分を信じて、仲間を信じて、グラウンド、ベンチ、スタンド一体となって試合に臨んでください」と激励した。(八尋紀子)

     ◇

 (5日、第107回全国高校野球選手権福岡大会1回戦 浮羽工4―8福岡西陵)

 3点をリードしていた浮羽工は、六回裏無死一塁からボークで進塁を許した。名嶋正信監督は「投手の中村は冷静でほとんどボークを出さない。そこから流れが大きく変わった」と振り返った。この回、福岡西陵の打線につかまり、失策も絡んで5点を失った。

 試合は4点差で敗れた。ただ、名嶋監督は「選手たちは記憶に残せる試合ができたと思う」と笑顔でうなずいた。

 江藤悠己主将(3年)は「力を出し切れず、悔いが残る。今までついてきてくれたみんなに感謝の気持ちでいっぱいです」。涙ながらに語った。(小勝周)

     ◇

 選手宣誓は三池工の安武仁主将(3年)が務めた。「ここまで支えてくれた人々への感謝を伝えるため、プレーします」と決意を述べた。

 組み合わせ抽選会で66人の中から選ばれて約2週間。高校の先生と一緒に準備した宣誓には、きつい練習を共に乗り越えた野球部の仲間、応援してくれた家族との思い出を盛り込んだ。

 宣誓の練習は何度も間違えて自信をなくしたが、前夜遅くまで中学時代の野球部の親友が付き合ってくれたという。

 多くの人に支えられて迎えた最後の夏。「自分の持てる力の全てを出しきって戦うことをここに誓います」と締めくくった。(小勝周)

     ◇

 選手の行進を先導したのは久留米商野球部の本川拓弥さん(3年)。

 本川さんは小学2年の時に野球を始めたが、高校1年の時に持病で入院。病状は徐々に悪化し、激しい運動ができなくなった。

 それでも野球部を続け、声出しやボールボーイなどサポート役に回った。諦めずに野球に向き合う姿を見てきた監督らから、先導役への応募を勧められた。

 久留米市野球場は、小学6年の時にマウンドに立った思い出の場所だ。

 この日、まっすぐ前を見つめながら歩き、落ち着いた様子で選手たちに停止の合図を送った。「最後にここに来られてよかった」と笑顔で語った。(八尋紀子)

     ◇

 開会式では、高校野球の健全な育成と発展に寄与したとして、功労者の表彰があった。県高野連前副会長の與賀田敦さんと松原功さん、県高野連前副理事長の佐伯健司さんの3人に県高野連から感謝状が贈られた。(八尋紀子)