近年の猛暑で炎天下の甲子園で行われる高校野球の在りかたが問われている(C)ACPHOTO 野球を愛する人々、現役の高校生…

近年の猛暑で炎天下の甲子園で行われる高校野球の在りかたが問われている(C)ACPHOTO

 野球を愛する人々、現役の高校生部員の間では「何とか9回制で」との声が高まっています。

 日本高野連は6月30日、7イニング制についてのアンケートを公式ホームページ内でスタートしました。このアンケートのユニークな点は、高校野球ファンの一般層を対象に行われているということ。他の高校スポーツでは競技関係者以外の声を聞くことは考えにくく、「高校野球」が国民的な文化であることの証明ともいえます。

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 高校野球の取材歴が長いライターは言います。

「高校野球の現場では『もう7回制になることは決まっているんでしょ』とあきらめムードが漂っています。しかし、日本高野連内にも推進派だけでなく、『やはり野球は9回ではないか』との声も強く、決して導入ありきでのアンケート実施ではないとの話です。推進派も、猛暑の中で何とか安全に夏の甲子園大会を開催させたいという、やむにやまれぬ理由で検討を進めているのが実情です。何も好き好んで7回制にしたいわけではないのです」

その上で、ここ数年の暑さが想像を絶する酷さであることから、結果的には近い将来、7回制は避けられないというのが関係者の一致する見解です。

「主催の朝日新聞社が危惧するのは、このままだと熱中症で重篤な状態となる高校球児が現れてしまうのではないかということ。安心安全な大会運営こそ朝日新聞社のプライドですから。しかし、『高校野球は7回制』になれば、暑さは関係のない春の選抜大会も7回制になる。高校生投手は基本7回しか投げないとなれば、ドラフトで即プロに行く高校生投手は激減し、9回制の大学野球を経験してからプロへ、の流れが加速することも予想されます。夢物語ではなく現実的に、甲子園球場のドーム化を検討すべき時期にきているのかもしれません」(前述のライター)

 世論は「7回制」にどんな反応を示すのか。まずはアンケートの結果を注意深く見守りたいところです。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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