現在、ウェールズのオスプリーズでプレーしているリース・ウェッブは、来季2018-19シーズンから3年契約でフランスのトゥーロンに移籍することが10月10日に公式発表された。しかしその6日後、ウェールズラグビー協会が代表選手のセレクションに…

 現在、ウェールズのオスプリーズでプレーしているリース・ウェッブは、来季2018-19シーズンから3年契約でフランスのトゥーロンに移籍することが10月10日に公式発表された。しかしその6日後、ウェールズラグビー協会が代表選手のセレクションに関する新方針を明らかにし、「国外でプレーする選手は60キャップ以上持っていなければならない」としたため、混乱が起こっている。

 今年、ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズにも選出され欧州屈指のスクラムハーフと評価されている28歳のウェッブだが、ウェールズ代表としては現在、28キャップしか持っていない。よって基準に達していないため、今季終了後にフランスへ移ったあとはウェールズ代表に選ばれなくなるのだ。

 新方針は、すでに国外でプレーしている選手は影響を受けないが、新しい契約には免除は適用されない。
 優秀な選手獲得を目指すリッチな外国クラブからプレッシャーがかかるなか、ウェールズ協会は、ウェールズラグビー界のためにトッププレーヤーたちをできる限り国内にキープしたいと考えており、オーストラリア協会も同様のセレクションポリシーを持っている。

 ウェールズ協会はこれまで、キャップ数にかかわらず、国外クラブに所属している選手のうち、代表ヘッドコーチのウォーレン・ガットランドが許可した4人までをナショナルチームに招集していて、ワールドカップがある2019-20シーズンは2人に減らすことになっていた。
 2015年のワールドカップはスコッド入りするも開幕直前に負傷して涙をのんだウェッブは、2019年の日本大会はその特別枠に賭けていたのだが、協会の方針変更で立場は厳しくなった。

 ウェッブはトゥーロンと契約する前に代表選考の方針変更を知らされていなかったという。
「失望しています。自分の国を代表することは私にとって大変大きなことであり、代表チームでプレーできないということは、本当に悲しい。トゥーロンに行っても、いいプレーを続けていれば代表に選ばれると思っていました」
『BBC Sport Wales』にそう語ったウェッブは、移籍を考え直した方がいいという声もあるなか、自分を高く評価してくれたトゥーロンで3年間をまっとうするつもりだ。しかし、「ウェールズ代表に選ばれることは、いまでも夢です」と思いを吐露している。

 ウェッブは今秋のテストマッチや来年2月、3月におこなわれるシックスネーションズ(欧州6か国対抗)では“レッドドラゴン”の一員としてプレーできる可能性はあるが、今回決まった新しい選考方針が見直されなければ、2019年に日本で開催されるワールドカップのスコッド入りは絶望的だ。

 ワールドカップ優勝を目指すウェールズ代表だが、一番手スクラムハーフが抜ける穴は大きい。

 2015年ワールドカップでウェールズ代表の10番をつけ活躍したSOダン・ビガーは、来季からイングランドのノーサンプトン・セインツへ移籍するが、現在56キャップであり、怪我がなければ、11月11日から12月2日までに予定されているテストマッチ4試合で、あるいは来年早々のシックスネーションズ中に基準の60キャップに到達すると見られている。