(5日、第107回全国高校野球選手権広島大会開幕試合 三次10―0呉三津田) 3年間練習したグラウンドに戻ったら、仲間…

 (5日、第107回全国高校野球選手権広島大会開幕試合 三次10―0呉三津田)

 3年間練習したグラウンドに戻ったら、仲間に伝えたい言葉がある。

 呉三津田の1番打者・藤本翔太郎選手(3年)は1年の時、退部を考えた。練習の成果が出ず、野球が楽しくなくなっていた。「いま振り返ると、そこまで練習していなかった。甘えていたんです」

 そんな自分を止めてくれたのは、同学年のチームメートだった。「残ってくれにゃあ困る」との言葉に、野球を続ける決心をした。

 昨年夏、先輩が引退すると部員が一気に減った。自分が恩返しする番だと練習メニューを考えたり、率先して声をかけたり。神垣大輔監督は「勢いを与えてくれる選手」とたたえる。

 この日の開幕試合。三回表、狙っていた甘めの直球をとらえ、二塁打を放った。だが、打線はつながらず六回コールド。

 今大会、唯一のマツダスタジアムでの試合で、チーム唯一の長打を記録した。「やりきった。マツダスタジアムは緊張したけれど、この場所で野球ができて幸せでした」と笑顔をこぼした。

 仲間にはこう伝えるつもりだ。「投げ出しそうになったとき、支えてくれてありがとう」(遠藤花、相川智)