(5日、第107回全国高校野球選手権福岡大会1回戦 浮羽工4―8福岡西陵) 0―4で迎えた五回、2死一塁。主将の辛嶋奏…

 (5日、第107回全国高校野球選手権福岡大会1回戦 浮羽工4―8福岡西陵)

 0―4で迎えた五回、2死一塁。主将の辛嶋奏斗選手(3年)は「とにかく一点がほしい」と打席に立った。狙っていた直球をはじき返して適時二塁打。勝利への流れを引き寄せた。

 昨年の新チーム発足時、チームはあいさつをしない部員がいたり、試合で負けても悔しがらずに笑っていたり。「もっと、ちゃんとしないと」。もどかしかった。

 転機は4月下旬にあった地区大会3回戦。敗れたが、格上だと思っていた相手に1―3の善戦。「俺たちも、やればできる」。部員らの目の色が変わった。練習中にプレーのよい点や悪い点を指摘して前向きなかけ声を出し合うようになった。吉村允良監督は「あの頃からみんなでやろうという意識が芽生え、チームにまとまりが生まれた」。

 この日もベンチから「自信持って」「ナイスプレー!」と明るい声が響いた。ピンチの場面でもグラウンドで選手たちは「笑え」「慌てるところじゃない」と励まし合った。

 くしくも浮羽工は、3月にあった春の県大会の初戦で敗れた相手。開幕試合での対戦が決まるとチームは「やってやろうじゃないか」と一気に盛り上がった。この日の逆転勝ちはチームが成長できた証しだと思う。「このチームでひとつでも多く勝ちたい」(山本達洋)