地球の温暖化が止まらない。危険な暑さだけではなく、自然災害の発生など、人類規模で問題が噴出している。生活の一部であるス…
地球の温暖化が止まらない。危険な暑さだけではなく、自然災害の発生など、人類規模で問題が噴出している。生活の一部であるスポーツ、ひいてはサッカーおいても、さまざまな問題が顕在化し、対応に多くの人々が追われている。温暖化の地球においてサッカーが持続し、発展するために、今後、夏場の試合をどうするべきか。サッカージャーナリスト後藤健生が緊急提言!
■6月だというのに「最高気温」46度
ちなみに、影響を受けているのはサッカーだけではない。6月30日に開幕したテニスのウィンブルドン選手権。ロンドン近郊で開かれているこの大会も、初日から猛暑に見舞われて大問題になっている。
僕のような昔からテニスを見ている人間にとって、ウィンブルドンといえばいつも霧雨が降っているような印象が強い。突然、雨が降り始めて試合が中断。芝生のコートがシートに覆われるような映像をしょっちゅう見ていた。
そのウィンブルドンが、猛暑で苦しんでいる。
ちなみに、西ヨーロッパ全土が大熱波に見舞われており、スペインではまだ6月だというのに最高気温が46度にも達したとも報じられている。
■交代の人数や回数が「制限なし」に!
このような状況では、スポーツの大会もこれまでと同じような形では行えなくなってしまう。
たとえば、これまで毎年8月に静岡県で開催されてきた「SBSカップ国際ユースサッカー」は、今年から12月開催に変更となった。
昨年の大会では、初戦の静岡ユース対U-18アルゼンチン代表の試合がキックオフから58秒後に落雷のために中断し、約1時間後に再開されたものの、前半32分にアルゼンチンが先制ゴールを決めた直後に再び中断。そのまま、試合再開ができずに1対0でアルゼンチンの勝利になってしまったことがあった。
昨年は、その後も再三、雷雨に見舞われ、そのため8月の開催を断念することになったのだろう。
あるいは、高校総体のサッカー競技(35分ハーフ)は本来、各都道府県持ち回りで行われるべきところを、昨年からは開催地が福島県のJヴィレッジに固定された(女子は北海道開催)。
また全中(全国中学校体育大会)のサッカー競技(30分ハーフ)では、今年から交代した選手が再出場できる「再交代」制が導入され、選手交代の人数や回数の制限はなくなるという。
■「5人交代制」で試合が面白くなった!
Jリーグをはじめ、今ではほとんどの大会で5人交代制が採用されている。ワールドカップをはじめ、国際大会でも同様だ。
5人交代制導入のきっかけは、新型コロナウイルス感染症の拡大だった。
しかし、コロナ禍が過去のものとなった今も(コロナウイルス感染症自体は今もなくなっていないが)、「5人交代制」はそのまま維持され、それに伴って、ほとんどの大会で9人がベンチ入りできるようになっている(日本の主要大会で今でもベンチ入りが7人というのは日本フットボールリーグ=JFLくらいのもの)。
5人交代制によって、戦術的交代の幅が広がり、試合は間違いなく見ていて面白くなった。
また、最近のサッカーは選手の走行距離がますます長くなり、また、フィジカル・コンタクトも激しくなっている。夏場の35度もある気象条件の中でそんな試合を繰り広げられるのは、5人の交代枠を使って疲労した選手を入れ替えることができるからだ。
かつて、交代が認められなかったり、交代枠が2人だけといった時代には、キックオフ直後から全力でプレーすると90分まで持たないので、力をセーブし、90分のペース配分を考えながらプレーすべきと考えられていた。
だが、「5人交代制」が普及した今では、最初からフルパワーで飛ばすような試合が多くなっている。
そうしたサッカーの「質」の変化をもたらしたのと同時に、「5人交代制」のおかげで夏場でも試合が続けられているのだ。