不振を極め、結果を残せずにいる角田。(C)Getty Imagesレッドブル側は「ドライバー交代は意味をなさない」と公言…

不振を極め、結果を残せずにいる角田。(C)Getty Images
レッドブル側は「ドライバー交代は意味をなさない」と公言も
F1生き残りをかけて激しい“競争”が続く角田裕毅。レッドブルで不振を極め、一部で更迭論が飛び交う25歳の日本人だが、水面下で興味深い動きを見せていた。米スポーツ専門局『ESPN』が、代理人が来季から新規参入するキャデラック側と接触したとすっぱ抜いたのだ。
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日本GPを目前にした去る3月27日に姉妹チームのレーシングブルズからレッドブルへ昇格し、ここまで9戦を消化した角田だが、彼の最高位は第4戦のバーレーンGPで叩き出した9位。入賞は3回しかなく、獲得したポイント数もわずか「7」と低迷し、お世辞にもチームへの貢献を果たせているとは言い難い。
6月29日に行われたF1今季第11戦のオーストリアGP決勝では、完走した16台中最下位でフィニッシュ。公式予選でも1回目(Q1)の18番手で敗退するなど、5戦連続で3回目(Q3)にすら進めず、4戦連続でポイント喪失。一連の結果は、本人が「正直、本当に難しいんだ」と漏らす、操作困難とされるマシン『RB21』との相性も小さくない影響を与えていると言えるが、それでも今の低調さはポジティブとは言い難い。
依然としてレッドブル側は「ドライバー交代は意味をなさない」(ヘルムート・マルコ博士談)と角田への徹底的なサポートを公言。チームとしての信頼を寄せているが、それでも負のスパイラルにハマる25歳への世間の逆風は強まっており、サマーブレイク期間中に去就に動きがあるのではないかという声も上がっている。
欧州メディアを中心に「今季限りで解雇」との可能性を報じられてもいる角田にとって、キャデラックの来季のドライバー候補となるのは、F1に生き残る上でも朗報と言える。角田の代理人を務める季からメキシコ出身の元レーサーであるディエゴ・メンチャカ氏とキャデラック側の交渉事情を伝えた『ESPN』によれば、両者は今季第8戦モナコGPの開催期間中に、接触していたという。
「ツノダはホンダと非常に密接な関係がある。ホンダはレッドブルとのパートナーシップの最終年に、彼のレッドブルへの昇格と引き換えにエンジンを含めたパワーユニットを割引で供給したとされている。ゆえに彼が来シーズン以降も元チャンピオンチームに留まる可能性は低い。ただ、4月の日本GP直前にレッドブルへ昇格したばかりとあって、ツノダ側とキャデラックの交渉は、モナコ以降は一時的に凍結されている」
もっとも、キャデラック側は具体的な交渉を済ませてはいない。『ESPN』は、季限りでレッドブルを解雇された優勝6回のセルジオ・ペレスや、メルセデスのテスト&リザーブドライバーを務めている優勝10回のバルテリ・ボッタス、アルピーヌのリザーブドライバー、ジャック・ドゥーハンなども「候補者」としている。
「明らかに打ちのめされているし、レースのたびに過ちを犯し続けている」
ゆえに名だたる名ドライバーたち中で角田がふるいに落とされることも想像に難くない。実際、現在の不振が続けば、信用を落とし、話し合いが進展しない可能性もある。
そんな崖っぷちに立たされた日本人ドライバーの“現状”に対するOBの評価は実にシビアだ。F1界のレジェンド、ミハエル・シューマッハ氏の弟で、ウィリアムズで6回のGP優勝を誇るシューマッハ氏は、独衛星放送『Sky Germany』において、角田が来季のF1シートを獲得する可能性がないと断じている。
「彼はフェルスタッペンよりもはるかに遅れているよ。簡単にまとめようか。正直に言って、もし、彼が今後数戦でマシンをコントロールできなければ、シーズンが終わる前にレッドブルを去らなければいけなくなるよ。私はツノダのF1でのキャリアは、もう終わったと見ている。
レーシングブルズ時代の彼のパフォーマンスは、リアム・ローソンやアイザック・ハジャーと比べても、それほど差のあるものではなかった。しかし、今、レッドブルでは、明らかに打ちのめされているし、レースのたびに過ちを犯し続けている。そうなると、あのチームは我慢の限界を迎えることになる」
キャデラック側との水面下の交渉は今後も注目されるが、まずは「F1でのキャリアは、もう終わった」とまで皮肉られた不振を脱却できるか否か――。
いずれにしても、角田のF1キャリアが正念場を迎えているのは間違いない。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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