◇米国男子ツアー◇ジョンディアクラシック 初日(3日)◇TPCディアラン(イリノイ州)◇7289yd(パー71)たとえ…
◇米国男子ツアー◇ジョンディアクラシック 初日(3日)◇TPCディアラン(イリノイ州)◇7289yd(パー71)
たとえ初日でも様子見をしている場合じゃない。星野陸也は内なる自分が発する危機感に従い、5番アイアンを握った。後半2番(パー5)のセカンドは残り218yd。左の池が絡む左手前ピンで、選択肢は2つあった。安全に奥に乗せて2パットのバーディを獲りにいくか、手前のエッジからイーグルを狙っていくか。大きな見返りは相応のリスクをはらむ。手前のエッジの傾斜に当たり、池の方向に跳ねる危険もあった。
「でも、きょうはグリーンも軟らかかったし、(全体的に)スコアが出そうな感じだった。ちょっと、このままのスコアじゃまずいな、と」。ハーフターンを挟んで2連続ボギーを喫し、1アンダーで迎えた2番ホール。伸ばし合いに取り残されないため、勝負に出た。
「振りちぎりました」という目いっぱいのショットはしっかりラインが出て、警戒していた傾斜にかからない横幅5~6ydのエリアを通す完ぺきな一打。ピンそば1m強につけた会心のイーグルに「むしろ(直前が)ボギーだったからこそ獲れたのかな。気持ちの部分とショットがうまくつながって、うれしかったです」と笑顔でうなずいた。
日本ツアーでも、昨季まで主戦場だった欧州ツアーでも、経験を重ねることで「このコンディションだったら、だいたいこのくらい出るよな」という全体のラインを予想できるようになっていった。これまでよりはるかにレベルが高いPGAツアーの“基準”が分かるようになってきたのは最近のこと。「普通だったら、2日間は様子を見るみたいなことが多いんですけど、初日からギアを入れていかないと」。軸足を置いて戦っているからこそ、ゲーム全体が読める。
ベント芝のグリーンは転がりもきれいで、「こっちに来て初めてかなってくらい」と話すほど、日本ツアーに近い感覚でパッティングのストレスがなかった。出だし4ホールで3バーディを先行した後、1Wショットを左のペナルティエリアに突っ込んだ15番は2m強を決めたナイスボギー。スコア貢献度を示すストロークゲインド・パッティングは「+4.153」でフィールド3番目の数字をマークした。
初日のフィールド平均スコアは「69.463」。予想通りのバーディ合戦に6アンダー「65」で食らいつき、首位と3打差8位で滑り出した。「あしたからも5アンダー前後を積み重ねていかないと、上位争いには食い込めないので」と浮かれるそぶりもなく言った。(イリノイ州シルビス/亀山泰宏)