今季ワーストの大型連敗を喫し、正念場を迎える中日。井上監督に成す術はあるのか。(C)産経新聞社 ハッキリと正念場を迎えた…

今季ワーストの大型連敗を喫し、正念場を迎える中日。井上監督に成す術はあるのか。(C)産経新聞社

 ハッキリと正念場を迎えた。

 中日は7月3日のDeNA戦で5-8で敗れ、セ・リーグ球団に対して今季初めての同一カード3連敗。6月末から続く連敗はシーズンワーストの「5」まで伸び、借金は同じくワーストの「9」まで膨れ上がった。

【動画】復調待たれる大砲!中日ボスラーの来日初アーチの場面

 ペナントレースの約半分を消化して5位。クライマックスシリーズ進出圏内まで4.5ゲーム差。首位を快走する阪神とは10.5ゲーム差まで広げられた。色々と現実が見え始めてきた中、どこを改善していけば良いのか。キーマンは誰なのか。本稿で少し探ってみたい。

 連敗中は「あと一歩での敗戦」が続いた。連敗が始まった6月28日の広島戦から、2日のDeNA戦までの4試合はいずれも1点差で敗戦。3日の試合も3点差と、大差での“ボロ負け”は喫していない。

 では、なぜ負け続けるのか。答えはディテールの部分にあるのではないか。

 連敗が始まった広島戦は、フォースボークを狙った“ズッコケ大作戦”の失敗で試合が終わっている。1点を追う9回2死一、三塁の局面でそれは起きた。

 同点、はたまた逆転までも狙える絶好機で、一塁走者の上林誠知が塁間でコケるタイミングを計って、三塁走者の尾田剛樹が果敢に本塁へ突入。ここまでは筋書き通りだったが、相手バッテリーの冷静な判断が上回り、尾田は見事に本塁タッチアウトとなった。

 この作戦は奇襲の部類ではあるのだが、何度か使っていくうちに奇襲ではなくなる。ベンチワークに疑問が残る結末だ。打者もこの日マルチ安打を放っていた山本泰寛だっただけに、彼の打力に頼っても良かったのではと考えてしまう。

 他方、敵地・横浜スタジアムでのDeNA戦では、守りの細かいミスや先発投手の立ち上がりに課題が残った。佐藤龍世や上林が打球に触りながらも安打を許した後に失点。先発投手は3戦とも初回に点を奪われた。先制をしていてもすぐに相手に流れを渡してしまうと、なかなか勝てるものも勝てない。

 ただ、光明もなくはない。横浜では細川成也とジェイソン・ボスラーに一発が生まれている。

 四番に入る細川は広島戦で3戦連続無安打だったものの、1日の試合では、球界屈指の左腕である東克樹からスコアボード直撃弾。打てるゾーンまで呼び込んで、低めの見極めもできており、トップフォームに近い状態まで戻ってきた印象だ。

 細川の後を打つボスラーは1日こそ無安打だったが、最後の打席ではあわや同点弾の大飛球。すると、2日と3日で2試合連続本塁打を記録。3日は初回に先制3ランを叩き込んでおり、マイナー通算162発の実力を発揮しつつある。

 夏は投手がへばり、その分打者が奮起する季節。主軸を任される2人の大砲がしっかりしていれば、得点力不足が深刻になることはないはずだ。

 4日からのヤクルト戦(バンテリンドームナゴヤ)ではもう一度シンプルに立ち返るのが良いのではないか。取れるアウトを取る。主軸のバットで得点を重ねる。そして、リードを守り切って勝つ――。

 幸いなことに、中日は清水達也&松山晋也という「最強の勝ちパターン」を持っている。極端な話、7回までにリードを奪っていれば良いのだ。これ以上、上位チームに置いていかれないよう、確実に白星を拾っていきたい。

[文:尾張はじめ]

【関連記事】大谷翔平の“リハビリ登板”が賛否両論 元MLB152勝投手が新プランを提唱「最初の2イニングだけ使うのは受け入れがたい」

【関連記事】今オフFA戦線の"隠れ目玉"に中日34歳左腕が急浮上? リーグトップタイの7勝、0.82の圧巻 「間違いなく、獲られそう」

【関連記事】「最初に巨人がサードで獲ってたら…」西武から中日へ電撃トレードとなった佐藤龍世の"最適解"を球界OBが考察 「十分戦える」