地球の温暖化が止まらない。危険な暑さだけではなく、自然災害の発生など、人類規模で問題が噴出している。生活の一部であるス…

 地球の温暖化が止まらない。危険な暑さだけではなく、自然災害の発生など、人類規模で問題が噴出している。生活の一部であるスポーツ、ひいてはサッカーおいても、さまざまな問題が顕在化し、対応に多くの人々が追われている。温暖化の地球においてサッカーが持続し、発展するために、今後、夏場の試合をどうするべきか。サッカージャーナリスト後藤健生が緊急提言!

■相手の「良さ」を引き出すような試合

 6月29日に行われたJ1リーグ第22節では、東京ヴェルディ川崎フロンターレに快勝した。

 ボールをつなぐときには勇気を持ってつなぎ、トップで起用された新井悠太や福田湧矢、それにMFの齋藤功佑平川怜森田晃樹などは流動的かつ精力的に動き続ける。そして、守備でも全員が徹底して体を張った。勇気を持った90分間の戦いぶりは、指揮官をも満足させたようで、試合後の記者会見では城福浩監督はいつになく冗舌だった。

 おそらく、東京Vにとって今シーズン最高の出来だったのではないか。

 一方、川崎フロンターレの出来もさほど悪いものではなかった。中央を固める東京Vのゴール前に侵入することは難しかったが、少なくとも前半の45分間はボールを握り続けた。左サイドでの三浦颯太、マルシーニョに大島僚太あたりが絡む攻撃は、見ていて楽しいものだった。

 あるいは、川崎がパスをつなぐ志の高いサッカーを見せたからこそ、東京Vの選手たちもそれに応じて自分たちの能力を精一杯に発揮するサッカーができたのかもしれない。

 川崎は、相手の良さを引き出すような試合をすることが往々にしてある。

■エース交代と「悪条件」の中での3連戦

 川崎にとって気の毒だったのは、前半13分という早い段階でマルシーニョが交代を余儀なくされたこと。代わって入った宮城天はけっして悪いパフォーマンスではなかったが、早い時間帯に交代カードを1枚使ってしまったため、ゲームの終盤での交代に制約がかかった。

 なにしろ、連日の暑さの中での連戦だ。この試合も、公式記録によれば気温29.3度・湿度66%という悪条件の中での試合だった。

 もちろん、気象条件は相手にとっても同じではあったが、川崎は水曜日にもアルビレックス新潟と試合をしており、中3日の3連戦目だった。当然、チーム全体に疲労感はあるだろうし、トップに19歳の神田奏真を起用するなど、メンバーも変更せざるをえなかった。

 そして、後半になると東京Vに押し込まれる状態が続いたため、さらに疲労が蓄積されていった。だが、前半のうちに交代カードを使っていたため、最後の時間帯にフレッシュな選手を起用することができなかった。

 川崎は、ボールを走らせるサッカーをする。ボールを動かして、相手を走らせる。従って、夏場でも十分に戦えるチームではある。

 しかし、それでも、この気候条件での連戦はきつい。AFCチャンピオンズリーグ・エリートで決勝まで戦ったことで、この時期に未消化分を含めて連戦を強いられていたわけだが、本来、6月といえば梅雨で雨に降られたり、湿度が高かったりはしても、これほどの高温に見舞われるはずの時期ではない。

 だが、気候変動の影響で日本列島は真夏並みの天気が続いているのだ。

 すでに西日本は梅雨明けが発表されており、東日本もまるで梅雨明けしたような天候となっている。

 6月下旬から、この暑さ。そして、暑さは8月いっぱいでは収まらないだろう。夏は、間違いなく昔より長く、そして暑くなっている。

■国際プロサッカー選手会も「懸念」を表明

「異変」は日本だけではない。

 現在アメリカ各地で開催されているFIFAクラブ・ワールドカップも北米大陸の猛暑に見舞われている。

 とくに、試合時間がヨーロッパでのテレビ放映の関係で現地時間の昼間に設定されているので、暑さの影響は余計に大きくなる。これは、1970年と86年のメキシコ・ワールドカップでも、1994年のアメリカ・ワールドカップでも再三指摘されてきた問題だ。

 6月30日には国際プロサッカー選手会(FIFPRO)は「商業面と選手の安全性との適切なバランスが必要だ」と懸念を表明したという。そして、FIFPROはハーフタイムを20分に拡大することなどを提唱した。

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